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10-5: Dance of Silver and Steel(銀と鋼の舞)

戦場の中央――銀髪のヴァレンティナ・シュミットとセラフィナが対峙する。

「あっちは楽しそうね」

セラフィナが微笑みながら、ガドラと結城翔の戦いを横目で眺める。

無数の剣を宙に浮かべ、それらは鋭い殺意を宿しながら、空中でゆっくりと円を描いていた。

「イニシエーターズって、みんなあんな風に乱暴なの?」

「ええ。おおむね」

ヴァレンティナは冷静に剣を抜く。その動きは洗練されており、無駄が一切ない。

セラフィナが指を弾くと、剣の群れが一斉にヴァレンティナに襲いかかる。

「遅いな」

ヴァレンティナは剣を軽やかに振り、正確なタイミングですべての剣を弾き返した。

鋼がぶつかり合い、火花が散る。

「フフ……避けるだけ? つまらないわね」

セラフィナが挑発するように笑い、指を動かすと、剣がさらに鋭く襲いかかる。

だが、ヴァレンティナの剣は一切ブレず、流れるような動きで迎撃する。

「見事ね」

セラフィナは笑みを浮かべながら、さらに剣を生み出す。その数は増え続け、戦場全体を覆い尽くすかのようだった。

「この剣たち、すべての方向からあなたを狙うわ」

指の動きに合わせ、剣の群れが四方八方からヴァレンティナを襲う。

「甘い」

ヴァレンティナは一言放つと、動き出した。

その動きは速く、正確だった。鋭い剣閃が次々と浮遊剣を叩き落とし、砕けた剣が地面に突き刺さっていく。

「攻撃が大振りすぎる。直した方がいい」

ヴァレンティナが低く呟き、一気にセラフィナの懐へ踏み込む。

「くっ……!」

セラフィナがすぐに防御の体勢を取るが、ヴァレンティナの一撃が彼女の肩をかすめた。

「へえ、やるじゃなお」

セラフィナが肩を押さえながら笑みを浮かべる。だが、その目には冷たさが宿っていた。

「でも、これで終わりじゃない」

彼女が両手を広げると、さらに大量の剣が宙に浮かび上がる。

「醜いな……」

ヴァレンティナは剣を構え直し、冷たい視線を送る。

「なに?」とセラフィナ。

「剣技に自信がないから、数に頼る」

「一本に絞るなんて私には信じられない」

「信じるだけの鍛錬を積んでいないからだ」

「………私が本気を出しても、そんな余裕の表情でいられるかしら?」

セラフィナが指を鳴らすと、無数の剣が一気に弾丸のように飛び出した。

ヴァレンティナは即座に剣を振り抜き、迫りくる刃を斬り払う。

だが――。

「これはどうかしら?」

セラフィナが笑いながら手を握ると、弾かれた剣が一瞬でUターンし、ヴァレンティナの背後から襲い掛かる。

「太刀筋が――」

ヴァレンティナが反射的に体を回転させ、後方の剣を迎撃する。

が、同時にセラフィナ自身が接近し、しなやかな動きで鞭のように伸ばした剣を振るった。

「単調だ!」

ヴァレンティナはすれすれでかわし、即座に剣を振るいカウンターを仕掛ける。

刃がセラフィナの頬をかすめ、彼女の笑みが一瞬消えた。


「………ふふっ」

セラフィナが静かに舌で血をぬぐう。

「ちょっと、頭にきちゃった」

彼女が腕を広げると、剣がまるで舞踏会のダンサーのように優雅に旋回し始める。

ヴァレンティナは剣を構え直し、一歩踏み込む。

剣閃と衝撃波が周囲を巻き込み、砂埃が絶えず舞い上がる。

「顔はダメよねえ!顔は!」

セラフィナが無数の剣を一斉にヴァレンティナへ向けて放つ。

これまでで最大の攻撃であり、一瞬で戦場を埋め尽くした。

「そうだな。そろそろ消えよう」

ヴァレンティナは静かに剣を振り上げた。「あなたの視界から」

――そして、一閃。セラフィナの顔を、真一文字に切り裂いた。



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