筆箱の中にはお気に入りを入れたい。
小学生、中学生、高校生、大学生、
学生の期間はそれなりに長かった。
長かったけれど、一貫していることがあった。
それは、筆箱にはお気に入りを入れておくこと。
これがあるとないとでは大きく違う。
ノートは最後まで使い終えたら、
あとで読み返すか、書き足しをするかになるけれど、
筆箱の中身はずっと使うものだ。
だからこそ、お気に入りを入れておきたい。
それはやる気に直結する。
勉強の成績は中の上程度だったけれど、
そこまで行けたのは、お気に入りがあったからだと思う。
無かったら、成績はもっと落ちていただろう。
小学生の頃は、
使わない消しゴムを入れていた。
ちょっとおしゃれな形をしていて、
香りもちょっとついている。
いつも使う消しゴムはシンプルで消しやすい四角いものだけど、
筆箱の中に使わないおしゃれ消しゴムがあると、
気分がよくなる。
また、小学生の頃はシャープペンシルが使用禁止だった。
中学生になったらシャープペンシルを入れるんだと思いながら、
ちょっとおしゃれ鉛筆を使っていた。
ただ、鉛筆は削られて短くなってしまう。
おしゃれ消しゴムは使わなければずっと筆箱にあるけれど、
おしゃれ鉛筆は使っていると短くなってきて、
やがて使えなくなってしまう。
おしゃれ鉛筆で勉強をしているとなんとなくやる気になるけれど、
短くなってしまうのがちょっと困りものだった。
中学高校となると、
シャープペンシルを二つ持つようになった。
書き心地の良さを追求したものと、
なんとなく見た目が気に入ったもの。
小学生時代のおしゃれ鉛筆の延長上にあって、
勉強の時は書き心地の良いものを使い、
友達とのやり取りなど、気分転換の時はお気に入りを使った。
また、複数色のボールペンも使っていたり、
いろいろな色の水性ペンなども筆箱に入れた。
水性ペンはバリエーションが豊富で、
お気に入りの色をたくさん買い込んで、
筆箱の中を色とりどりにした。
水性ペンと複数色のボールペン、シャープペンシルで、
ノートは色とりどりに仕上げられた。
勉強していると、ノートがお気に入りの色になっていくのが楽しかった。
筆箱の中もお気に入りがいっぱいだったけれど、
ノートもお気に入りで仕上がった。
学生を終えたときにまとめて処分してしまったけれど、
ノートを仕上げているのは楽しかった。
学生を終えて社会人になった。
事務の仕事に就いて、今も筆箱を持っている。
仕事につかえそうなものを筆箱に入れて、
業務連絡であったり、
メモを取る際などに、
お気に入りの筆記具を持ち出している。
私の場合は筆箱の中身がお気に入りだと嬉しいけれど、
人によっては、ネイルがきれいだとテンションが上がるのかもしれない。
いつも見ているものがお気に入りというのは、
それだけでやる気につながるんだろうなと思う。
学生の頃から脈々と受け継がれてきた、
筆箱の中のお気に入りは、
社会人になって、もっといろいろなものを入れている。
学校の決まりなどもないし、
シャープペンシルを使ってはいけないというものもない。
とにかく好きなものを好きなだけ詰められる。
社会人には責任が伴うけれど、
責任をともなってなお、
自由があるのがとっても嬉しい。
筆箱の中をどんなお気に入りで満たしても、
仕事をちゃんとできればそれでいいのが嬉しい。
大人になってよかったなと思う。
大人になってしばらくしているけれど、
子どもの頃に小さなことにもキラキラと喜べていた、
あの頃も悪くなかったなと思う。
結局人生そんなに悪くないんだろうな。
それはきっといつもお気に入りがそばにあったから。
筆箱を開ければそこには必ず何かのお気に入りがあったから。
お気に入りのある人生は、悪くない人生なんだと思う。
好きがいつでもそこにあるって、幸せだと思う。
私のお気に入りはいつでも筆箱の中にある。
好きが詰まった筆箱は、
ずっと私の宝物だ。
多分これからも。