流行りに乗らない作家様へ
初めまして。
私はあなた様の一読者であり、また、ファンの一人です。
あなた様の作品に感動し、心動かされたものとして、
あなた様に気持ちを伝えたく思い、
ファンレターを書かせていただきます。
あなた様への、そして、あなた様の作品への、
愛と熱量がかなりのものになるかと思いますが、
それも愛ゆえにと受け流していただけると嬉しいです。
まず、あなた様にこのファンレターが届くだけでも素晴らしいので、
今から情緒がおかしくなっているところです。
あなた様にこの気持ちを届けられるよう、
真心こめて手紙を書かせていただきます。
あなた様の作品は、流行りに流されないものです。
私の周りの方々などは、
あなた様の作品の良さを分かってくれないので、
最近では私から勧めるのをやめておりますが、
あなた様の作品の良さは、流行りには乗らない、
どの時代においても通じるところであると思います。
流行というものは、その時代を映す鏡であると私は思います。
その時代の流れを描く点においては、
流行に乗るのもありだと思います。
しかし、あなた様は、
全ての時代に通じる作品を書かれております。
この時代のこれを知らなければ通じないとか、
この常識がなければ通じないとか、
そんな作品ではなく、
どんな時代においても、あなた様の作品は通用するものと思います。
あなた様の作品に流れる普遍性においても、
どの時代でもこんなことはあるという、
時代を越えた共感があります。
あなた様の作品は、もっと読まれるべきであると思いますし、
もっと読まれて、時代を越えてみんなで感じて欲しいと思うのです。
書籍の売り上げという点においては、
流行りものを書き、読者のニーズに応えることもありだと思います。
また、流行りものをしっかり書きあげる能力というものが、
かなり高い水準でないと売れないということも、
私はなんとなく感じております。
流行りのもので戦えるのは、それだけの作家でないといけない。
流行りのものの中で生き残れるのは一握りであることもわかっているつもりです。
しかし、あなた様はそことは別の場所で執筆をしていると感じています。
流行りものがひしめき合う場所が戦場であるとすれば、
あなた様の書かれている場所は、
あなた様だけがいる、とても平和な場所です。
あなた様はそこで、あなた様だけの物語を紡いで、
私のような読者に届けてくれています。
あなた様は、人の世を遠くから見守っているような存在かもしれません。
山奥にいる仙人のようだと私などは思います。
人の世からそっと離れて、
悠々と人の世を見守っているような、
あなた様はそんな存在のような気がします。
あなた様は、あなた様のペースと世界観で執筆をされています。
万人受けはしないかもしれませんが、
私にはあなた様の作品が深く突き刺さっています。
あなた様の作品には、
人の世を流れる深い愛があります。
浅いところに現れる即物的な愛も描きつつ、
その実あなた様の作品には、
人が人として生きる営みの中で受け継がれ、
脈々と流れてきた愛があります。
この深いところを流れてきている人の愛というものが、
歴史を動かし、人と人を繋げたり、
争いのもとにもなったり、失った悲しみのもとにもなる。
あなた様の作品は、深いところを流れ続ける愛が、
人の普遍的な生き様にもつながっているとされていて、
その愛があなた様の作品のテーマでもあるように思われます。
あなた様のその深い愛への洞察力はどこから得たのでしょうか。
もしかしたら先程私が書きましたように、
あなた様は人の世をどこかから眺めている存在なのかもしれないと感じています。
あなた様は作家という肩書ではありますが、
私はあなた様の姿も知らなければ、
あなた様がどのような暮らしをしているかもわかりません。
知る由もないと言われればそうなのですが、
あなた様は、俗世間から離れたところにいるようです。
私などは、だからあなた様が流行に乗らないのだと感じております。
あなた様は大きな流れを見ていらっしゃると思うのです。
人の世が大きな流れに乗っている。
愛という流れに乗っている。
その流れを見て、あなた様の作品にしているのだと思います。
ですから、あなた様の作品は、どの時代にも通じます。
あなた様の見ている愛は、
誰にも、どんな時代にも通じます。
あなた様の作品は、もっといろいろな人に読まれるべきです。
つい先日、あなた様の作品の新作が出ました。
読んでからファンレターをと思ったのですが、
文章を追って、ページをめくるごとに、
深い愛に涙して、あなた様の表現に心動かされて、
なかなか読み進めることができません。
また、読み終えてしまうのが惜しくもあります。
あなた様の作品を心に、いえ、魂に刻むごとく、
感動しながら読み進めてまいります。
あなた様の執筆のペースを考えますと、
この後しばらく新作は出ないように思います。
それまで、今回の新作を味わいながら読み進めて、
新作を読み終わったら、旧作も何度も味わいなおして、
あなた様の作品を楽しませていただきます。
新作の感想につきましては、
しっかり魂に刻まれたと感じましたら、
私の言葉で、また、ファンレターとしてあなた様に届けたいと思います。
あなた様への作品の愛は冷めることを知りません。
誰もわかってくれなくてもいいとすら思っています。
ただ、私はあなた様の作品を愛してやみません。
あなた様がいついつまでも作品を書いてくれるように願っています。
どうか、お身体には気を付けられてください。
ご病気などなさらないように、
いつまでもお元気でいてください。
あなた様がお元気で執筆をなさっていますと、
私もがんばろうと思えます。
あなた様の作品は、私の生きる理由でもあります。
あなた様の作品を読むために生きていると言っても過言ではありません。
あなた様の愛に触れて、私は生きています。
どうか、これからも愛に満ちた作品を書かれてください。
私はずっとあなた様の作品を追い続けます。
あなた様が生まれてくれて、
作家として作品を出してくださったことに感謝しています。
あなた様が心地よく作品が書けるよう、
私はいつでも願っております。
この度はこのようなファンレターを、
最後までお読みいただきありがとうございました。
愛をこめたつもりですが、
あなた様の愛の深さには到底届かないと思います。
それでも、ここまで読んでくださったことに感謝して、
ファンレターを締めたいと思います。
ありがとうございました。
あなた様のファンのひとりより