目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報

第87話 先輩、注意する

「はい、そんなわけで王国の話はここらでおしまい、本題やってくよー」

「もうだいぶお腹いっぱいだと思いますけど、ここからが本番です」


<コメント>

:わかってるやん

:しかしまだこれ以上があると?

:今後のプレゼント企画はどうなりますか?

:他に気にすることあるやろ

:NNPは日本から撤退しちゃう感じ?


「そこはどうだろ? 後輩、どうなの?」

「今のところ撤退の予定はありませんね。ただ、今後うちの王国の商品を彼女の会社で発表させていただきます。まぁ出資者特権というやつですね」

「何出すのさ」

「にゃんにゃんむくみ取りポーションとかですね」

「にゃんにゃん……」

「飲むとにゃん族特有の美肌効果が得られます」

「あー」


 前もって出していくわけか。

 ずっと再販しろってうるさかったもんなぁ。

 でも向こうの言い分は聞かず、新商品として王国からの商品として出す。

 お値段は1万にゃん。

 事前に10億とか提示したから、それに比べたら随分お安く感じるね。


<コメント>

:普通に出してきたw

:案の定新通貨である

:そりゃあな

:自分のとこで基準作れるんなら作るか

:是が非でも転売させない強い意志を感じる


「なおこちらの商品、VR空間でも販売しております」

「VRで買っても持ち帰れないじゃない」

「はい。でも効果は得られますよ」


<コメント>

:生殺しやめろ!

:まずVRの使用許可が10億〜の時点で

:誰も入れるつもりはないという強い意志を感じる

:そりゃ危険な場所ではあるからな

:入手手段がイベント前提なのが

:もうどこの国とも仲良くする気ないやろ


「そんな、ひどい!」

「そうだぞ、この話自体聞いたのはついさっきなんだから、そんなすぐに話をまとめられるわけないだろ」


<コメント>

:え?

:さっき?

:今日の今日?

:急すぎるwww

:今日の今日で建国を?

:よく引き受けたなー

:その割には随分と手回しが良くないですか?


「後輩がある程度案を練った状態で引き渡してくれたんだ。僕はサインをしただけだね」

「サプライズ成功です!」


<コメント>

:サプライズで国を渡す女

:建国は流石に

:生半可なガチ恋勢じゃ後輩の足元に及ばないことが判明したな

:先輩に惚れるならこれくらいしないと


「あとは10億にゃんをポンと出してくれるかですね」

「そこはまだ細かい価格設定をしてないからね」

「今後の配信で取り扱っていきまーす」


<コメント>

:そういうことね

:まだ何も決まってないんか

:今日の今日って聞いたらそりゃ

:むしろ先輩に内緒でそこまで決めてた後輩がすごいのでは?


「そうだよ」

「先輩は世界滅亡を体を張って阻止していたんですよね。それに比べたら建国するくらいは普通です」

「普通かなぁ?」


<コメント>

:体を張る

:最後のアレな

:あれはいまだにアーカイブで擦り続けられる伝説

:100億再生行ってましたもんね

:これが地球を救うダンスだーー


「やめろーーーー」


 僕は思い出して頭を掻きむしった。


「ほらほら、みんなして先輩をいじめないでください。もう偉くなったんですから。あんまり追い込むと日本だけ転移陣打ち切られますよ?」


<コメント>

:煽ってるのは後輩ちゃんなのになぁ

:何で俺たちが悪いことになってるのか

:これがわからない


 本当にそうだよ。

 画面上から僕がいなくなり、横から代わりの僕がやってくる。

 これぞスペアボディの流用ってね。


「はい、ということで。前の僕は打たれ弱すぎるので新しい僕がきた。続きを始めるぞー」

「どの先輩も可愛いですけどねー」

「はいはい」


<コメント>

:これが本当のスペアボディの使い方って?

:打たれ強くなる薬作ったほうがなんぼかマシなのでは?

:こんなのに数十億使われてるのか

:別に買えばそれくらいってだけで、研究資金はもっとだぞ?

:そうだった

:誰も先輩の領域に届いてないのが悪い


「それはそうだが、後輩の僕イジリは常に予想の斜め上を超えてくる。ちょっとやそっと精神が頑強になったくらいじゃ、僕の精神が耐えられるわけないだろう?」

「可愛い子を見るといじめたくなってしまうんですよ。でも確かに、少しいじりすぎましたね。地上の英雄にすべき態度ではありませんでした。反省してます」

「お、今日は随分と素直だな」


<コメント>

:これは何かおねだりの手前の仕草

:急に物分かりが良くなる時は要注意やで


「何でですかー、私だって普通に反省ぐらいしますよ」

「まぁそれはそれとして、僕に何か頼みがあるのは本当でしょ?」

「あ、はい。今後にゃん族を運営するとして、王国はどこまで関わるのかなって」

「あー、そこか」


 関わるかどうかならガッツリ関わるに決まっているじゃないか。何を言ってるんだ?

 いや、この場合の『関わる』はリスナーに向けての宣言か。

 どこまで情報を公開するかって話となると、言えることは大きく制限されてしまうな。


 何せさっき何も決めてないと言ったばかりだ。

 何も決まってないのは本当だけど、今後どう運営していくかの方針はもちろんある。


<コメント>

:ダンジョン内の派閥争いに参加するかどうか?

:何それ気になる

:でも実際、支配してるのはりゅう族ですよね?

:そうだよ

:スペアがお嫁さんポジにいるとはいえ、先輩がどうこうできるの?


「流石に僕の一存ではね。なのでコアパパの話を聞きながらの運営になるだろうね。権力者の懐にいる間は、戦乱に巻き込まれない立ち回りができるのはいいことだよね。地上にも報告できるし。そういう意味では僕たちは今後中立の立場になるのかな?」

「数を増やしても、りゅう族の気分で根絶やしにされたらたまりませんもんねー」

「それだよ。僕としては穏便に行きたいところ。そういう意味では独立国家を持てたのは幸先がいいよね」

「秘密裏に進めててよかったです!」


 はい可愛い。

 言ってることは何も可愛くないけどね。

 それもまた彼女の愛嬌だ。


「そんなわけで当チャンネルでは、今まで通り錬金術師の育成向上を目指していくわけですが。あまりにも情報が交通渋滞をしているので、ここで僕から決意表明をさせていただこうかと思います」


<コメント>

:決意表明?

:一体何を表明するんや

:錬金術師の引退とかやめてよ?


「いや、僕から錬金術を取ったら何も残らないでしょ。そういうのじゃなくて、僕たちにゃん族が今後ダンジョン探索に関わらないっていう表明」

「どういうことです?」

「単純にうちの子達を戦力として貸し出せっていうのを禁止にしようかと。その代わり、手に負えなくなったモンスターはバンバンうちの国に持ってきていいよ」

「それは貸出しにあたるのでは?」

「うーん、なんていうのかな? 貸したら貸しっぱなしで帰ってこない可能性が非常に高い」

「あー」


<コメント>

:そんなことある?

:しそうな国は少なくない

:先輩が懸念してることは何となくわかる

:ダンジョン種族に少なからず恨みを持ってる人はいるからね

:それ以外にも見た目は可愛いから

:あー、コレクションとして集める輩もいるのか


「確実にそうだ、とは言い切れないけど。そういう可能性が1%でもある限りは僕はそれを良しとしないことを覚えておいてほしいね。僕としてはまだまだ制御しきれてない部分もあってね。敵討ちに走って一族郎党皆殺しとか笑えないからさ」


<コメント>

:制御不能ってそういう?

:結局そこまで責任取れないから貸し出さないってことやん

:にゃん族こわ

:戦闘民族だからな

:敵討ち文化があるのか?


「そりゃあるでしょ。一般兵士でアメリアさんくらいの戦力あるからね。それが徒党を組んで、仲間意識も高いんなら可能性はあるよ。で、僕は就任したばかりで一部の兵士からはあまり慕われてない」


 イルマーニさんがいる時は素直にいうこと聞いてくれて入るけどね。それ以外だと下っ端の新入りぐらいの認識だ。


<コメント>

:そりゃ禁止して正解だ

:りゅう族のコントロールだって実際できてないようなもんだし

:先輩だから何とかしてくれそうってだけで

:実際何もできてないのと同じだしな

:なんか変に期待しちゃってたわ


「そういうわけで今後ダンジョンで起こる事象を知っても対処できないと思うので、いっそダンジョン探索に関わらないことにしました! もちろん仕入れた情報は一度国に通した上で発表できるのはここで発表していくよ」


<コメント>

:りょ

:それは仕方ない

:そもそもただの錬金術師に任せる仕事じゃない

:コネが普通じゃないだけで生産職だしな

:それ


「でもダンジョンでのお役立ちアイテムは今後も発表していきますので、ご贔屓にお願いしますねー」


<コメント>

:はーい

:はーい

:ある意味でいつものスタンスやな

:トールたちのポジションににゃん族たちが参加しただけか

:私兵っていうほど物騒でもなかった


「流石に新興国でそんな対応はしませんので。でも、にゃん族は今までどおりスペアボディを用いてのバトルウェーブヴァーサスへの参加はさせます」

「給与としてにゃんを支払う予定でいますので、優しくすればにゃんをくれるかもしれませんね」


<コメント>

:なるほど

:不義理を働いたら?


「え、普通に殺そうとしてくるんじゃないの?」

「そこは彼女たちも生きてますからね。ちょっとおバカだからって騙そうとしたら普通に怒りますよ」

「ミミ先生がにゃんぞくの切れ者ポジって考えて貰えばOK」

「後で何をしたら嫌がるかの解説書も付属しますね」


<コメント>

:ミミ先生、普通に人間に混ざって漫画家してるんだよな

:あれ、にゃん族っていうほど頭悪くないのでは?

:そうだよ

:今だせ

:アーカイブ化よろしく!


「先述した通り、そこは切り抜き師さんの腕の見せ所。アーカイブ化はしませんので悪しからず」

「まだ何も決まってないので、重箱の隅をつつく真似はしないでくれると助かります」

「また拗ねて先輩が連盟から加盟国を消すことにならなければいいですが」


<コメント>

:脅しじゃねーか

:そりゃ脅しをちらつかされたら対抗策を用いるでしょ

:アーカイブ化が脅しになるの?

:切り抜きも脅しになるんだよ

:今までは個人だったけど、今度は国だからな

:喧嘩を売る相手を間違えるなってことだな


「別にこっちも脅したくて脅してるわけじゃないことをご理解願いたいね」

「法整備以前の問題ですからねー。いうほど国の体裁を保ててないっていうか」

「だから国は興したけど、国として事件に介入できるとは限らないから、なんかまた面白いことやってるくらいに思っといて。って、話がまた脱線してる! 僕は錬金術のお話をしたかったのに!」

「なかなか難しいですねー」


<コメント>

:どんまい

:どんまい

:どんまい

:どんまい

:国を興したなんて言ったら仕方ないでしょ

:残当

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?