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133 最終決戦の肆


 一方、海に蹴り飛ばされた勇殿は大したダメージもなさそうに、すっと立ち上がる。

 駆け寄ってくる武田・上杉の面々を手で制し、ゆっくりと波打ち際まで戻ってきた。


「ゆ、勇君? 大丈夫?」

「うん。特にダメージは……でも、やっぱりあの人たちが連携を組むなると、なかなか厄介だね」

「そうだね。気を付けて……これはあくまで威力偵察。絶対に無理しないでね」

「ふふふ。光君はいつもそうやって僕を過保護に! 心配しすぎだよ!

 でももちろん気を付けるよ。なんか嫌な感じなんだよねぇ。吉継さんもそう言ってるし。

 まだなんか隠してそうな……」


 あぁ、やっぱり勇殿もそう思っておるか。

 というか勘の鋭い勇殿とその脳内におる吉継が揃って似たようなことを言っておる。

 そしてそれに対して十分な警戒もしておる。

 まぁ、そうじゃな。この2人が同じ懸念を抱えてるということは、つまりは“そういうこと”なんじゃろう。

 でもその警戒心を緩めぬあたりが、逆にわしとしては安心じゃ。


「うーん。ちょっと浅かったかな? この電動工具で戦うと、いまいち手ごたえがわからないんだよねぇ……。

 ちょっと気ぃ抜くと刃の長さが変わっちゃったりするし……」


 そんなことを呟きながら一歩、また一歩と足を進め、臨戦態勢に入っていた関羽たちと5メートルほどの距離に近づいた。

 相手は3人。しかもこれまでこちらの全勢力をもってしても優勢にはほど遠い戦いを強いられてきた強敵じゃ。


 ところが今はその3人が、勇殿を前にして劣勢さを顔に出しておる。

 わし自身もまったく予想しておらんかったまさかの状況ではあるけど、そんな両者が静かに相対し動くタイミングを見計らって――って、ここで張飛が血を吐いた。


「げほっ……げほっ……ちっ、ちょっと内臓もやられたようじゃけん、わしはあまり長く戦えんぞい?」

「はい。その傷で普通に立っている張飛さんがむしろ信じられませんわ。でもまぁ、張飛さんは無理せんといてくださいね」

「うむ、そうじゃな。わしはサポートに回る。でも兄者? 酒はもうないんかのう? 他は海で落としてしもうたんけ?」

「いえ、もう1本なら……反対のポケットに……」

「ほんじゃそれくれや」


 くっそ。

 また酒の補充か!?

 しかもこの会話の流れで酒を求めるとなると、張飛のヤツ、あの大きな傷さえ酒で治せると?


 いや違うな。

 酒というか、飲酒によって武威を回復し、その武威を使って傷口の治療を……といった感じかな?

 それなら最近武威と法威による簡易治療法を覚えたわしにだってできるし、そういう技術が道威にもないとは限らん。

 いずれにせよ、まだまだ油断などできん――できんけど。


「させないよ! とーぅ!」


 関羽と張飛のやり取りを聞いておった勇殿だって、そんな時間を相手に与える気はない。

 というか右手に持った電動ドリルをぶぉんぶぉん言わせながら、またしても勇殿が先行した。


「くっ……」

「ちっ! やっかいな小僧じゃ!」

「気を付けろ! そいつ、酒を狙って……!」


 ぎりぎりで趙雲が気付いたようだけど、すでに遅し。

 関羽がスーツのポケットから出した酒瓶を張飛に渡す途中にも勇殿はその間に入り、瓶の破壊に狙いを絞る。

 もちろん武器を持たない関羽たちに対抗する術はなく、接近してきた勇殿から距離をとるように後方へ跳躍。その際酒瓶が関羽の手から離れ、空中を飛んでいた瓶は勇殿の一撃によって木っ端微塵となった。


 流れはこっちに来ておるというか、完全に有利といえよう。

 もうさ、これ……勇殿1人で3人を倒せんじゃね?

 というぐらいの優勢具合じゃな。


 だけど酒の自動販売機なんて本州側にもそこら中にあるだろうし、コンビニさんなどに入られたらそれこそ無限に補充できる。

 そしてそのために張飛をこの場から一時離脱させ、多少の時間は関羽と趙雲で勇殿を抑え込む。

 たとえ武器がなくてもそれぐらいの時間稼ぎはできるじゃろうし、戦場から離脱した張飛がついでとばかりにどっかの家から箒やその他鈍器の類を持ってくるだけで、それは十分に武器となる。


 勇殿もそれを十分にわかっておる。

 それゆえに勇殿は自分から積極的に動いておるようじゃ。

 警戒しながらも――そして直感からも警鐘を感じつつ、それでもこの3人を相手に攻勢へ。

 ふむふむ。戦いの流れをしっかりと読んでおる。

 今の勇殿はもはや立派な武人。やはりわしは過保護過ぎたようじゃ。


「ちょこざいな!」


 しかし酒瓶に向けて電動ドリルを突き出していた勇殿に対し、またしても趙雲が真横からカウンター的な奇襲をかける。

 こっちもこっちで百戦錬磨の武人。

 またしても勇殿の左わき腹のあたりに蹴りを放ち――そしてその蹴りは予想通り“飛ぶ斬撃”も同時に発射した。


「ぐっ! ふう……やっぱりそうきたね。でもうん、これなら大丈夫そうだ! んじゃ……とう!」


 とはいえやはり武器による攻撃ではなかったため、その威力は多少低いようじゃ。

 勇殿も攻撃を受ける瞬間だけ左腕を多めの武威で覆い、趙雲の攻撃をがっちりとガードすることに成功した。

 んで左腕に大したダメージがないことを軽く確認しつつ、今度はその趙雲めがけて回転する刃をひと振り。

 趙雲が胴体の前で両腕をバツ印にして防御態勢をとったけど、火花みたいなのがめっちゃ散りながらその武威の鎧を削り取る。

 結果、趙雲の左前腕部も半分ほど削り取ってしまった。


 わしが言うのもなんだけど、勇殿の攻撃――めっちゃ怖いわ。怖いっていうか、えぐい。

 あとこういう攻防の最中も勇殿はうすら笑いを浮かべたままなので、それも少し怖い。

 でもその表情は訓練の時とかもずっとそんな感じなので、まぁ、あれじゃな。勇殿も余裕で戦っておるという証拠でもあるんじゃが。



 でもやはり怖いな。

 今度は何が怖いかと問われれば、その笑顔が逆に余裕から生まれる勇殿の油断へと繋がったりしないかと。

 あぁ、またわし過保護になっておるんじゃろうか……?

 うーむ、ここはやはり勇殿と――そしてその脳内におる吉継にある程度の戦況判断を任せるべきじゃな。


「いい感じだね。勇君? 任せるよ」

「うん。がんばる!」


 わしの無線にも、勇殿がいつもの様子で答えてきたので問題なし。

 イージス艦の作戦司令室にて前のめりになっておったわしは「ふぅ」と短く息を吐きながら背もたれに寄りかかり、モニターに映る攻防を数分ほど見守ることにした。


 砂浜にどっしりと構えた勇殿。

 それを関羽たちがさらなる猛攻で取り囲むが、張飛と趙雲が負傷し、そもそも武器を持っていない敵は決定打に欠ける。

 対する勇殿は幾重にも襲い来る打撃の類を無難に防御し、時折カウンターじみた攻撃を仕掛ける。

 この際、勇殿は吉継のような瞬発的な移動も駆使しつつ、そんな緩急の激しい勇殿の動きを関羽たちは満足に捉えることができない。


 そんな戦いをじぃーっと見つめながらも、しかしわしの不安はやはり消えない。

 この戦況において、関羽たちが一向に退こうとしないこと。

 その表情に劣勢から生まれる恐怖の表情が見えないこと。


 もちろん後方にはこの戦いを見守る景勝殿や勝頼殿率いる2つの小隊が待機しておる。

 そちらの戦力もまだまだ十分な余力を残しておるゆえ、関羽たちからすれば圧倒的な劣勢具合じゃ。

 つまりは劣勢による焦りの表情は見えるけども、それが恐怖へと変わっていく気配がないんじゃ。


「うーむ」


 先ほどは勇殿の無難な戦いぶりに少しの安心感を覚えたわしじゃが、この数分でその感情は徐々に小さくなり、またまた不安感が生まれ始める。

 直感鋭い勇殿と吉継がそろって何かを警戒しておると言っていたのが、それがわしの心境にも大きなしこりを残しておる感じじゃな。

 それゆえ無意識に低く唸ってしまったわしであったが、暫く沈黙したまま隣に座っておった豊久殿がふと口を開いた。



「三成様? ちょっとこっちのモニターを……」

「ん?」

「これ、なんか飛んでないっスか? 空中をゆらゆらって感じで……?」



 そして次の瞬間に勇殿の――いや、勇殿と吉継、さらにはわしが抱いていた悪い予感が当たってしまった。



「勇君! 空中警戒! なんか飛んでる!」



 そこには20個程度の……うーん、なんじゃあれは?

 小さな物体が地上から30メートルほどの高さをふらふらと浮かび、それらが円を描くように空中で陣形を作っておる。


「くッ! とうッ! ……ん? って空?」

「そう、空! なんか浮いてる! 気を付けて!」

「あっ、ほんとだ! 紙みたいなのが浮いてるよ! あれは……ぐっ! とりゃ! なんかのお札!?」

「札? もしかして呪符とかかも!? 勇君! そこから少し後退して! 後ろに!」

「オッケー! って、とーぅ!」


 関羽たちと激しい戦闘を続けながらも頭上の異変に気付き、勇殿は電動ドリルを振り回すことで包囲の輪から無理やり抜け出る。

 そのまま15メートルほど後方に跳躍し、そこに待機していた景勝殿たちと合流した。

 とはいえ突然現れた怪しい呪符たちに景勝殿たちも警戒し、下手に動けない。


 そしてその間にも関羽たちも空を見上げ、そこに浮かぶ呪符たちに気づいた。


「なんじゃ、あれは?」

「さぁ……なんかの……呪符? 関羽の兄貴? なんだと思う?」

「いえ、わいもわからんですわ。あれは……? 一体?」


 でも関羽たちもその不可解な存在に疑問を持っておるようじゃ。

 もちろんあの呪符はわしら側が仕込んだものではない。

 なのでてっきり関羽たちが用意したものだと思ったけど、それも違うらしい。


 ではあれは?


 このタイミングで、いきなり現れ……しかもそれが呪符?


 わしは再度前のめりになり、モニター類を凝視する。

 同時に武威センサーにも細心の注意を向け、勇殿たちのいる現場の情報を得ようと試みた。


「これは……武威? か……?」


 わしの武威センサーにも、20を超える小さな武威反応。

 周囲の空間を綺麗に覆うように薄く均一に広がる武威がそれらの呪符から放たれており、一同は思わず戦うことをやめてそれらを観察していた。


 んで、やっぱりこういう不可解な現象――特に敵味方がどちらもその原因がわからないような状況だと、わしの記憶力と分析力が他の人物より一足早く機能するようじゃな。


「黒幕……?」


 数時間前に趙雲と戦っていた時の記憶なんだけど、あの時の会話で趙雲は何者かに操られておるようなことも示唆しておった。

 そして今のこの状況。

 趙雲たち本人も理解できてはおらんようじゃが、その何者かがこの戦いに介入を試みておるとみてよかろう。


 んでこれがアニメや漫画の類なら、その呪符たちがこれからどんな効果を発揮するのかを見届けるのがセオリーじゃ。

 でもそんなことは許さん。

 わしが現場におれば、即座に拳銃の弾丸を空中に向かって放ち、それらの呪符が機能し始める前に全て撃ち落とす。

 とはいえ今現在、戦場におるのはそのような遠距離攻撃ができない者たちばかり。


 いや、30メートルぐらいならわしら武威使いの跳躍力で十分に呪符たちまで届くことができる。

 ここはすぐに動いてもらおうぞ。


「小谷勇多以外の者全員で空中の呪符を攻撃してくだされ!

 勇君はその間、もっかい関羽たちに接近して近接戦闘! 関羽たちに呪符の破壊を邪魔させないようにして!」


「う、うん! 了解!」


 そして各部隊の兵たちが動き出す。

 というか後方でずっと戦いを見守っていた景勝殿や勝頼殿の部隊であったけど、わしの指示を受け各々が迅速な動きを見せてくれた。

 さらには勇殿も一瞬だけ驚きつつ、関羽たちに向かって跳躍する。


 だけど……


「ぐっ!」

「ぐはっ!」

「くっ! こ、これは?」


 それぞれがそれぞれのターゲットに接近しようと跳躍しておったのじゃが、その途中で空間に広がる見えない“何か”にぶつかり、鈍い衝突音と声が聞こえてきた。

 壁というか、結界というか……。

 わしの武威センサーも一瞬遅れてその存在に気づいたけど、どうやらこの障壁は関羽たちを守るように円形に作られておるようじゃ。



「これは? もしや?」

「あぁ、趙雲よ。おそらくは……“あいつ”の仕業のようじゃの」

「えぇ、わいらを囲むような“気”の防御壁……間違いないでしょう」

「んじゃこれは……この現象は……安心してもいいのか?」

「じゃろうな。ふーぅ。というかやっと助け舟を出しおったか。ずっと頭の中で“退くな”とやかましかったけぇ、なにかあるとは思っておったんじゃが。やっと……でも、ぎりぎり命を取りとめた感じじゃわいな! がっはっは!」

「そうですなぁ。流石に遅すぎましたけども。わいなんてそろそろ本当に逃げようかと思っておりましたわ。

 でも、張飛さん? もしや胸の傷も回復してますかいな?」

「あぁ、そうなんじゃ! 少しずつだけど出血も痛みも収まっておるけん、やはりわしらは助けられたようじゃの! あいにく今もまだ頭の中の声がどこのどいつなのかはわからんがな! はっはっは!」

「えぇ、そうなりますな。しかもわいらの“気”も少しずつ回復してるようですわ。ふーぅ。これで何とか……」



 くっそ。

 そんなんありかよ! いや、ありえんじゃろ!

 たかが呪符にどんだけ複雑な効果を付けておるんじゃ!?

 しかもやつらの会話から察するに、武威の結界の中におるあやつら、傷も武威も回復しておるようじゃ。


 しかもこれほどの劣勢にもかかわらずやつらが全然退こうとしなかった理由! やはりやつらの背後に何者かがおる!

 そしてそいつはこの戦いを裏から操っておる!


 くっそ……くっそくっそくっそ……!

 これじゃこれまでの苦労が水泡に帰してしまうじゃろ!


 なんか……そう、なんかいい手だては?

 今すぐにどうにかしないと……!



 ふーう、ふーう……



 いや、ここは冷静に。

 まずは……そうじゃな。勇殿たちに撤退命令を出すべきじゃ。


「勇君? いや、吉継? 聞こえておるじゃろ? 撤退じゃ! 明らかに戦況が変わった! ここは撤退を!」


 わしがマイクにそう叫ぶのとほぼ同時に――いや、セリフが重なるぐらいのタイミングで勇殿の声も聞こえてきた。


「全員、撤退じゃ! 揚陸艇まで即時撤退! 揚陸艇の運転手も海岸から離れるように移動を始めよ!

 今すぐ船を旋回させ、全速力で海岸から離れるんじゃ! わしらもすぐにそちらに追いつく!」


 いや、この言葉遣いは吉継じゃな。

 異変を察知し、それがこちらに不利なことだと感じるや否や勇殿と意識を交代、すぐさま戦場から離脱する指示をホバークラフトの運転手殿にも伝えておる。


 もちろんその考えに異論などない。

 うむ、そのまますぐに撤退じゃ。


「いいぞ、吉継! その方針で動け! でも海に出ても後方からの追撃に注意せよ! “飛ぶ斬撃”にて船が壊されかねん」

「そうじゃな! それにまだなにかありそうじゃ!」


 わしがすぐに指示を重ね、吉継もそれに答える。


 そうじゃ。

 海に向かって後退する吉継たちとは対照的に、武威の壁の中で関羽たちの体がぷかぷかと浮き始めておるんじゃ。

 んでそれら関羽たちの体が空中を浮遊する呪符たちと同じぐらいの高度になったとき、やつらの武威の回復速度が急激に上がった。

 それだけではなく、そのさらに上方。そっちもそっちで10枚ぐらいの呪符が新たに現れ、なにやら空間をゆがめておる。


 もうさ。これ立派なファンタジーなんだけど……!

 じゃなくて!

 ファンタジーなのはいいとして、そのファンタジー感に沿って言うならば、なんか空間のゆがみが黒く変色して、そこから何かが出てこようとしておるんじゃ!


「あれは……? もしかして……武器?」


 ドローンの空撮映像から見えるその超常現象のど真ん中。空間の黒いゆがみから細長い物体がいくつか出てきて、それらが関羽たちの体にゆっくりと近づく。


「おぅ! これはこれは! 懐かしき我が『丈八蛇矛(じょうはつだぼう)』。これがあれば百人力じゃのう!」

「おう、張飛の兄貴! 俺にも『涯角槍(がいかくそう)』が来たぞ!

 ふっふっふ。我々に迷惑極まりない術を施しやがった“あいつ”! でもたまにはいいことしてくれるじゃねぇか!」

「そうですなぁ! わいにも『青龍偃月刀(せいりゅうえんげつとう)』が。これはこれは! 大変助かりましたわ!」



 まずさ。

 すでに吉継たちがホバークラフトに向かって撤退しておるのに、なぜ関羽たちの会話が聞こえてくるんじゃ?

 うーむ。さては吉継のやつ、接近戦の最中にこちらの無線機をこっそりやつらの体に仕込んだな?

 まぁ、やつらがそれに気づいていない時点で、それは無線機というより超小型の盗聴器の類なんだろうけど。

 やはり気が回る男じゃ。


 それと、吉継のおかげで関羽たちの会話がこちら側に筒抜けになったけど、完全にヤバい状況じゃ。

 なになに? やつらがかつての時代に用いていた愛用の武器が空間から現れたじゃと?

 もう、ここまでくると絶望しかないわ。


 でもやはりわしがここで冷静にならねばなるまい。

 というか吉継がやつらに盗聴器を仕掛けたことに気づいて、逆になぜかわしも完全に冷静さを取り戻したわ。

 吉継よ、もろもろサンキューじゃ。本人には絶対言わないけど。



 あと、あれじゃな。

 こちらの主力は睡眠中がほとんどで、源平や出雲・京都の兵たちも本州の中国地方に展開しておる最中じゃ。

 ゆえに今戦場に出てやつらと闘うほどの戦力はない。



 だけどさ。

 ……1つだけ残ってたわ。



 戦国最強と名高いあの勢力。かつての時代に、近畿地方にて四面楚歌の状況に追い込まれながらも、それら周囲の敵を全て駆逐したあの勢力。



「くっくっく。聞こえるか? サルの小姓よ。察するにこの敵どもになかなか目障りな支援があったようだな。

 ここは我々が手を貸してやろうぞ? くっくっく」


「信長さん? ちょ、これ、無線機ってどうやって設定するの? 兄ちゃんの声、全然聞こえないんだけど!

 おーい! 兄ちゃーん! 聞こえるー!?

 遅れてごめんよー。でも招待試合の遠征終わったから、助けに来たよー!」



 そう、信長様率いる織田家の武闘派集団。

 そしてついでとばかりに康高が壇之浦に姿を現した。




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