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第13話 リリンゴのシュワシュワ

 温室からママが持ってきた果物はリンゴだった。


 ーーこの世界にもリンゴがあるんだ。


「エルバ、これはね。いまママが温室で作っている、リリンゴという果物なのよ」


「おぉ、リリンゴか……なつかしいな。若い頃は樽一杯のリリンゴをかじったもんだ」


「パパはリリンゴ大好物ですものね。だから、いまは数は少ないけど、温室で作っているのよ」


 このリンゴ、いやリリンゴは、パパのためのリリンゴなんだ。


 そうだ。

 博士、リリンゴについて教えて。


《野生リリンゴの改良版ーー改良リリンゴといいます》


 野生リリンゴ?

 改良リリンゴ?


《魔族の森に実る、野生リリンゴは栄養価が高く生食できます。改良リリンゴの詳細は不明》


 魔族の森? 不明? 博士の説明がいつもと違っていた。これは改良リリンゴで、ママが魔族の森に実る野生リリンゴを品種改良したものなのか。


《すみません、改良の為に野生リリンゴのタネはありません》


 そうなんだ。

 博士からリリンゴのタネをもらうには、原種の野生リリンゴを見るか、発見するしかないんだ。


「いま、リリンゴを切るわね」


 そう言ってママはリリンゴの皮をむき、薄くイチョウギリにして、みんなのシュワシュワにいれてくれた。


 甘い、リリンゴの香りがするシュワシュワを一口飲んでみる。



(美味しい! シュワシュワの中に甘いリリンゴの果実がとけ込み、ほんのりリリンゴ風味になってる)


「パパ、ママ、アール君、リリンゴのシュワシュワ、とても美味しい」


「エルバ様のおっしゃる通り、リリンゴ入りのシュワシュワは美味しいです」


「あら。ほんとうに美味しいわ」


「最高だ! リリンゴ入りのシュワシュワ、うまい! キリチゴ、バナナン、いろんな果物をシュワシュワの中にいれてみたいな」


 コメ雑炊に続いて、リリンゴ入りのシュワシュワがウチの定番になった。

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