目次
ブックマーク
応援する
4
コメント
シェア
通報

213. 『姫。妖精の森に潜入します!ゲリラオフコラボ』配信①

213. 『姫。妖精の森に潜入します!ゲリラオフコラボ』配信①





 配信10分前。ゲリラオフコラボ配信ということもあってほとんどノープランだが、彩芽ちゃんとは何度も配信しているので問題はないはず、それにこれは彩芽ちゃんのご両親に観てもらうための配信だから。


「あの……颯太さん。準備できました」


「ありがとう。声が入ると身元がバレる可能性があります。極力声を発さないようにお願いします。とりあえず隣の部屋をお借りします」


 そう言って隣の部屋に移動する。まぁこの場所なら、リビングから彩芽ちゃんの様子も確認できるだろう。


「そろそろ時間だ。いつも通り楽しもう彩芽ちゃん」


「はい」


「大丈夫。配信をしている彩芽ちゃんの姿を見ればお父さんも認めてくれるよ」


 そして17時。ゲリラオフコラボ『姫。妖精の森に潜入します!』配信が始まる。


 コメント

『ましのんてぇてぇ』

『挨拶とかビジネスじゃなくなってる』

『ゲリラ最高!』


「皆さんこんばんは。Fmすたーらいぶ1期生、みんなの姫こと姫宮ましろです。そして」


「こんばんは~。Fmすたーらいぶ3期生……Fmすたーらいぶの風紀を守るがんばり屋の妖精双葉かのん……です」


「なんでかのんちゃんが緊張してるのw」


「だって……両親が隣の部屋にいるので……うまく話せるか心配……」


「いつも通りやればいいと思うよ?それにかのんちゃんはご実家なんだからホーム、ましろの方がアウェイなんだから緊張するでしょw」


 コメント

『かのんちゃんコミュ障でてるぞw』

『落ち着こうw』

『水飲めw』


「ほら見習いフェアリーも心配してるよ。今年初の『ましのん』コラボはかのんちゃんのご実家の妖精の森で配信してます。声大丈夫かな?ノートパソコンだから。問題ないかな?」


「ましろん先輩。かのん何やるか聞いてませんけど……」


「言ってないからね」


「なんで内緒にするんですか?怖いんですけど……」


「ましろ、かのんちゃんに怖いことしたことないでしょ?」


 コメント

『なにするんだろう』

『ましろんがサプライズw』

『かのんちゃん可愛い』


「昨年は色々なことあったでしょ?かのんちゃんも1周年を迎えたし。どうなの今の気持ちは?」


「そうですね……初めは辛いことも多くて、ましのんユニットを組むまでは何やっても上手くいってませんでしたし。でも今はましろん先輩とか、他の先輩方に恵まれて、あとは同期のみんなが居てくれるから頑張れてます。あ。後輩4期生も入ってきましたし」


 コメント

『なんか真面目な話になってきたな』

『確かに色々あったもんな……』

『かのんたんも成長したんだな』


「そうだね。かのんちゃんは変われたのかもしれないね?まぁ1番はましろのおかげであってほしいけどさ?」


「それはもちろんましろん先輩のおかげです!本当に感謝してますし、尊敬してますから!」


「じゃあ……親衛隊隊長として、ずっとましろの側にいてね?」


「え!?あっ……はい……」


 コメント

『めっちゃてぇてぇw』

『プロポーズすんなw』

『やめろニヤけるだろw』


「今年は『ましのんてぇてぇ』を推していこうかなってwFmすたーらいぶにはてぇてぇを認めてるカップリングがないからさw」


「ついにましろん先輩も認めてくれたんですね!かのん嬉しすぎて泣きそう!」


「ましろ結構メンヘラだけど大丈夫?『なんで他の子と話すの』とか『なんでましろが優先じゃないの』とか言うけど?」


「え?……いや。ましろん先輩なら全然OKです!」


 コメント

『メンヘラ姫w』

『さすが隊長w』

『すべてを受け入れる妖精w』


「あはは。OKなんだwさてさて、雑談はこれくらいにして企画やるよかのんちゃん」


「本当にあるんですか?」


「当たり前でしょ。色々変わったかのんちゃんなんだけど、3期生のみんながどう思ってるか気にならない?」


「かのん。気になりません」


「気になろうかw配信終わっちゃうからさw」


「嘘です。気になりますけど、そういう企画なんですかこれ?」


「ましろが事前に3期生にかのんちゃんのことを聞いてるから、それが誰か当ててもらおうかなって思ってさ?同期の絆があれば誰かすぐ分かるよね?」


 コメント

『おお!ある意味ドッキリか』

『かのんたんも同期いなくなるw』

『やめろ姫に怒られるぞw』


「ましろは同期いなくなっちゃったねwそれじゃ早速いこうか!」


 オレはふと横にいる彩芽ちゃんを見る。すると緊張が解けたのか、隣のリビングにいる両親のことを気にすることもなくいつも通りのVtuber『双葉かのん』になっていた。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?