243. 姫は『企画会議』するようです
今回の案件コラボは、ある程度条件が決められている。『バレンタインチョコレート作成』と『顧客ニーズのアンケート調査』と『チョコレートプレゼント企画』の3つ。とりあえずオレはノートパソコンに打ち込みながらざっくり考えてみると
『バレンタインチョコレート作成』は配信でチョコレートを作ると言ったシンプルな内容。そこで『ソプラノ』のチョコレートの紹介をしていく。
『顧客ニーズのアンケート調査』はバレンタインにちなんだ、色々なアンケートを事前に『ソプラノ』さんが調査しておりそれを発表する。
『チョコレートプレゼント企画』は、今回のFmすたーらいぶの『海の迷宮』とのコラボチョコレートを紹介し、応募方法などを話す。
ってな感じだろうな。しかも今回は3D配信だから、チョコレート作りをしながらの雑談が無難だろうな。
「どう?衣音ちゃん、一ノ瀬さん?」
「えっと……なんかそんなシンプルでいいのかなって。もっとコラボならではの企画があった方が……」
「私もです。せっがく、マネージャーさんと衣音ちゃんと一緒に『海の迷宮』をやれるので……もっとこう……難しいですけど……」
「シンプルだよな……」
オレもそう思う。確かにコラボするからには何か特別なことをしたいし、何より今回は大手の製菓メーカー『ソプラノ』との案件。そんな大きな仕事なのに、ちょっとシンプルすぎる気がするんだよな……
一ノ瀬さんの部屋が沈黙に包まれる中、衣音ちゃんが口を開く。
「あの神崎マネージャー。その……せっかくなら、1つずつ枠を取って配信するのはダメなんですかね?」
「え?つまりオレ、衣音ちゃん、一ノ瀬さんの枠でってこと?」
「はい。条件が3つあって全部を入れるとシンプルな案件コラボになってしまうし、それぞれの条件をそれぞれの枠で配信出来たら色々出来るかなって」
「それ私も思っでました!衣音ちゃんさすがです!」
「凛花さん本当に~?怪しいけど?」
「本当です!嘘じゃないですよ」
確かに衣音ちゃんの言う通り、今回の案件コラボを1つの配信に絞る必要はない。それぞれの枠で違うコンテンツの配信が出来たら面白いだろうな。
「配信時間が長くなるけど大丈夫?」
「神崎マネージャー。私も凛花さんも結構毎回長時間ゲーム配信してますから。そこは大丈夫だと思います」
「私も。せっかくの3D配信だし、コラボだし!楽しみたいです!」
一ノ瀬さんがそう笑顔で言ってくれる。なんか……本当にオレはこのコラボ案件を受けて良かったと思う。後輩の2人がこんなに楽しみにしてくれているんだから、絶対に成功させたいし、オレ自身も楽しみたい。
「衣音ちゃん。ちなみにチョコレートって作れる?あるココのタコパの時、結構自炊してるって言ってたし、料理得意そうだけど?」
「お菓子も作れますよ。大丈夫です」
「ならオレの『姫宮ましろ』の枠でチョコレート作りをやろうか。メインで衣音ちゃんが作って、オレと一ノ瀬さんはアシスタントと『ソプラノ』のチョコレート紹介やリスナーとのコメントを拾いながら雑談しよう」
「それは助かります。私雑談あまり得意じゃないので」
まぁ……衣音ちゃんはあんまり雑談が得意そうな感じはしないもんな。でもゲーム配信はかなり上手いんだけど。
「あのマネージャーさん!私やりだい企画あるんですけど。聞いでもらえますか?」
「うん。どんなの?」
「えっど……『アンケート$ラビラビカジノ』ってやつで、クイズ企画なんですけど」
そう言って一ノ瀬さんはパソコンに打ち込みながら説明してくれる。
「アンケートを事前にとって、自分がどこにいるか当てると言う企画です。今回のニーズ調査とFmすたーらいぶのライバーのイメージを当てはめたら面白そうで」
「それ面白そうですね?ラビさんのキャラクターにあってますし」
「なら、それでいこう。あとでもう少し内容を詰めようか、運営さんにも事前アンケートとか協力してもらわないといけないし」
「わぁ……本当に私の企画でいいんですか?感動だぁ……」
残りはプレゼント企画か。これは必然的に衣音ちゃんの枠になるけど……
「あの神崎マネージャーはゲーム大丈夫ですか?」
「上手くないけど、2人とコラボするならゲームをやりたいとは思ってるし、『海原あると』の枠ならやっぱりゲームじゃない?」
「あのあの衣音ちゃん!この前雑談で話したんですけど、姫プレイとか面白いと思うんです!どうですか?」
「姫プか……それなら視聴者参加型にして、全滅したら何かプレゼントが豪華になるとかいいかもですね!」
そんなこんなで話し合いは進み、『海の迷宮』の初コラボの企画は決まっていく。結局最後の方は衣音ちゃんと一ノ瀬さんが色々意見をくれた。こうして後輩が頑張っている姿を見るのは新鮮で嬉しく思うのだった。