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381. 姫は『先輩』らしいです

381. 姫は『先輩』らしいです




 週末。天気は快晴。今日は3期生の旅行配信の日だ。ちなみにあの配信のあと高坂さんは彩芽ちゃんと挨拶をした。まぁ彩芽ちゃんはコミュ障陰キャ女おつだったけど。でも年が近いからだろうか、2人の雰囲気は悪くはなかった。


 そしてそのあとの最終打ち合わせで今回の旅行配信に高坂さんもスタッフとして同行することになった。他のライバーさんと一緒に仕事できることは彼女にとっても大きな経験になるし、ライバーさんとも知り合えるいい機会だ。特に3期生は彼女より年下が多いし、話しやすいだろう。


「高坂さん。一応、葉桐ソフィアちゃんと海原あるとちゃんはオレのこと知ってますけど、今日は『姫宮ましろ』じゃないのでよろしくお願いしますね?」


「分かってます。今日は神崎先輩です」


 時間は朝の9時。駅で3期生のみんなと待ち合わせをし、新幹線に乗り目的地へ向かう。目的地までは2時間ほどかかるので、到着する頃には11時くらいになるだろうな。席に座ると前に座っている玲奈ちゃんが物珍しそうに話す。


「わぁ……こうやって並んで新幹線に乗るの初めてです!いつもは個室とかなので!」


「玲奈ちゃんには窮屈じゃない?大丈夫かしら?」


「私小さいほうなので平気ですよ莉央さん?」


「そういう意味じゃないと思うよ玲奈ちゃんwあまりはしゃいで忘れ物とかしないでよ~?」


「大丈夫ですよ~」


「そういう愛梨ちゃんこそ、その手に握ってる新幹線の切符なくさないでよ?」


 そう言われて焦りながらカバンに切符をしまう愛梨ちゃん。本当に心配なんだが。ちなみに前の席に玲奈ちゃんと白石さんと愛梨ちゃん。オレの横には彩芽ちゃんと衣音ちゃん。後ろの席に高坂さんと2名のスタッフさんが座っている。


 新幹線が出発ししばらくすると、窓の外にはのどかな景色が広がる。今日は天気もいいし、少し暑いが窓を開ければ気持ちいい風も入ってくる。


「あのマネージャーさん……」


「ん?どうしたの」


「SNSに投稿って……まずいですか?せっかくみんなで旅行なので……」


「あまり今日の配信の匂わせがあると良くないんだけど、ちょっと確認してみるよ」


 彩芽ちゃんも楽しもうとしてるんだな。自分からSNSに投稿したいなんて本当に成長したよ。オレはそのまま事務所に確認すると、写真は配信で使用するように。文面だけならOKという回答が来た。


「文面ならいいってさ」


「なら彩芽ちゃんから順番に3期生で投稿する?一緒にいること匂わせても面白いよ?どう莉央さん?」


「そうね。なら文面のどこかに3期生の名前を書いてリレー方式にしたら面白いかもね」


「それいい!私も賛成!」


「今10時すぎなので、1時間ごとに投稿しても配信の19時までに2回投稿出来ますね」


 そうと決まればと、みんなでワイワイしながら色々話をしていく。本当に3期生は仲良しだな。一応今日オレはマネージャーだし、でもこればっかりはオレが口出すことじゃないからな。


 そして目的の駅に着き、ここから3期生はフラワーパーク、山登りというスケジュールだ。


 駅から歩いて10分ほどで、目的のフラワーパークに到着した。このフラワーパークは広い敷地の中に季節の花々が咲いているテーマパーク。色々なエリアに分かれいて、家族連れやカップルなども訪れている人気スポットだ。ちょうど近くにロープウェイ入口もある。


 オレはそのままロープウェイで一足先に高坂さんとスタッフさんと共に行き、夜の配信準備となる。


「じゃあ白石さん。何かあれば連絡をください」


「はい」


 オレはそのままロープウェイに乗り、3期生より先に旅館へ向かう。そして旅館につくと、スタッフさんたちが先に送ってある機材の準備を進めていく。そして3期生たちからSNSに投稿があった。


「神崎先輩!3期生が投稿してますよ」


「うん。楽しんでるみたいだね。さてとオレたちも準備しようか。今日は貸し切りにしてあるから。旅館の人に夕飯を21時でお願いしておいてくれる?あとは温泉の使用時間も聞いといて」


「分かりました!」


 オレも旅館の人に挨拶し、自分の部屋で荷物を片付ける。ちなみに、3期生はみんな同じ大部屋でオレと高坂さんはそれぞれ1人部屋だ。


「神崎先輩!お願いしてきました」


「ありがとう。それじゃ機材の準備ができたら配信テストするから、それまでは打ち合わせしようか」


 そんなこんなで3期生の旅行配信は順調に進んでいるのだった。

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