504. 後輩ちゃんも『頼もしい』です
週末。今日は『Pastelパティ』さんとの案件コラボのスタジオ収録がある。そして、スタジオの1つ横のスタジオでオレは高坂さん共に自分の正体を明かすために出番を待っている。
「いよいよですね……なんか私も緊張してきましたw」
「なんで高坂さんが緊張するの?」
「いや私も『姫宮ましろ』のマネージャーですから!」
「大丈夫だよ。ドッキリは上手くいくから。あとはオレが男だと知って、さくらちゃんがどうするかだけだよ」
既に横の収録スタジオには彩芽ちゃんや七森さん、マネージャーなど数名のスタッフさんがいて、軽く打ち合わせをしている。
「あっそうだ。神崎先輩?」
「ん?」
「香澄さんに『今日ましろ先輩来ないの?』って聞かれましたよ。もちろんスケジュールが合わなくてって言っておきましたけど」
その高坂さんの言葉を聞いて、オレは申し訳なくなる。今まではなんとも思っていなかった。でも……きっと他のライバーも『姫宮ましろ』に会いたいと思っているかもしれない。いや会いたいだろうな……だって……同じFmすたーらいぶの仲間だもんな。
「どうかしたんですか?神崎先輩?」
「いや……なんでもないよ……」
そしてついに収録が始まる。オレは頃合いの良いところまで待機することにする。
コメント
『3D!』
『さくのん!』
『珍しいよな!』
「おう!元気かい?Fmすたーらいぶ2期生、最強の女刑事とはこの遠山さくらのことだい!全員逮捕してやんよ!」
「みなさんこんばんは~Fmすたーらいぶ3期生、Fmすたーらいぶの風紀を守るがんばり屋の妖精双葉かのんだよ~よろしくね~」
「いやぁ久しぶりだよなこうしてかのんと2人は?クリスマストークリレー以来か?しかも3Dだしな」
「2人きりはそうですね。あの『ましのん』のドッキリとか、この前の学力王とかはありましたけどw」
「何笑ってんだよwそういや今日はましろ先輩がスケジュールが合わなくて配信参加出来なかったんだよな」
「はい……かのん寂しいです……」
コメント
『かのんちゃんw』
『姫は忙しいから』
『頑張って』
「まぁ今日は2人で配信頑張っていこうぜい!」
「はい。頑張りましょう」
「ということで、今回はあのお菓子専門店Pastelパティさんとのコラボなんだぜい!まさかコラボがこんな大手になるとはな。これは気合い入れないと!」
「そうですね。しかもPastelパティさんにかのんたちのオリジナルコラボアイスクリームを作ってもらってるんです!」
コメント
『おお!』
『食べにいくぞ』
『美味しそう』
「あとこの後流すけど、珍しく外ロケに行ったからwかのんは外ロケ初めてだった?」
「いえ、何回かやったことあります」
「その割にお前緊張してたけどw」
「かのんはいつも緊張してますwそれにさくら先輩と一緒だったのでw」
「なんでだよwもう何度も事務所や収録で会ってんだろ!さくらもしかして怖いの?」
「怖く……ないです……」
コメント
『草』
『これは……』
『かのんちゃんw』
「お前その反応やめろwというかかのんはお嬢と仲良いじゃん?真面目な話、お嬢とどこが違う?自分ではあんまりわかんねぇんだけどw」
「え。クララ先輩は話しかけてくれるし、かのんが話しかけても優しくしてくれて」
「確かにあいつ裏だと全然違うから」
「さくら先輩は怖くないですよ。でも……仕事中も休憩中も真面目にスタッフさんに質問したり、次どうしようこうしようって考えてて……そもそも話しかけづらいです……はい」
「ガチのやつやめろw」
コメント
『警部は真面目だから』
『わかる』
『すまん。オレのさくらが』
『あとで言っておく』
「お前ら誰だよwダルい捜査一課いるんだけど。かのん。全然話しかけてくれて平気だから」
「わかりました次からはそうします!」
「お前本当か?絶対だかんな?これ配信載ってるからなw」
「……なるべくそうしますw」
「やっぱり怖いんじゃねぇかよw」
そんな感じで配信は進んでいく。そんな感じで配信は進んでいく。初めての2人きりで、しかも3Dコラボで彩芽ちゃんは緊張はしているだろうけど、もう配信3年目なんだ。上手く立ち回れているよな。久しぶりに彩芽ちゃんの収録を見たけど本当に頼もしくなってるよ。