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505. 姫は『会えた』らしいです

505. 姫は『会えた』らしいです




 そして配信は2人外ロケの動画を観ながら、実際にコラボアイスクリームを試食したり、お得情報の発信、ゲームをしたりなど、特に問題もなく進んでいく。


「えっと次のコーナー……え?」


「なんか動画があるみたいですね?」


 コメント

『なんだなんだ?』

『サプライズ?』

『なんの動画だろう』


「とりあえず動画よろしく!」


【動画VTR】

『某日8時、某地域の事務所の駐車場』とテロップが入り、画面には車内に『姫宮ましろ』と『双葉かのん』のぬいぐるみが映し出される。そのままオレも移動しスタンバイする。


 《おはようございます。時間は8時?ちょっと早いんだけどね。ましろです》


 《かのんです》


 《ということで、今日はPastelパティさんとのコラボということで外ロケだねかのんちゃん?》


 《はい。緊張してます……》


 《あはは。ましろもwとりあえず頑張ろうね?それじゃ行ってきます!》


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『外ロケ?』

『姫も行ったんだw』

『てかかのんちゃん2回行っとるやんw』


「あれ?別日にロケ行ったんだ。まぁ案件だからな、ましろ先輩がいねぇのもおかしな話だよなw」


「そうですね」


「てか、かのん2回行ったのかよwお疲れw」


「……続き観ていきましょう」


【動画VTR】

『Pastelパティ1号店休憩室にて』


 《いやぁ色々なお菓子とかがあって、ポアロ探偵とか喜びそうw》


 《本当ですよね。あっこれ姫宮ましろコラボアイスクリームです。食べて見てください》


 《綺麗なピンク色だね。ましろのはピーチ味なんだよね。それじゃ……うん!桃の甘さとミルクの濃厚さがとても美味しいね》


 《かのんのマスカットも食べますか?》


 《うん。あっかのんちゃんスタッフさんが呼んでるよ?収録頑張って!ましろはここでアイスクリーム食べながら終わるの待ってるから。あとは最後に戻って撮ったら終わりだね》


 《はい。頑張ります!》


 コメント

『別々に収録してるの?』

『姫休憩してるのかw』

『頑張ってかのんたん!』


「おい!なんだこれ!」


「どうしましたさくら先輩?」


「なに見せられてんだぜい!全然店内とか紹介されてねぇし、今んところましろ先輩がアイスクリーム食ってるだけなんだけどw」


「とりあえず最後の動画観ましょうか?」


【動画VTR】

『某日17時、某地域の事務所の駐車場』


 《はい。ということで外ロケお疲れ様でした。どうだったかのんちゃん?》


 《すごく緊張しました……本当にさくら先輩とは初めてだったので……結構コミュ障出てましたw》


 《確かに。車内で全然喋ってなかったよねwそれよりさ、かのんちゃん聞いた?さくらちゃんさ……『姫宮ましろ』に会いたいって言ってくれてたね……ましろ嬉しいよ》


 《言ってましたね。楽しみですねましろん先輩》


 ここで動画は終わる。一体何が起きてるかわからないさくらちゃんとリスナーは困惑気味だ。そして配信画面には『※この後マイクがミュートになる可能性があります。予めご了承ください』とテロップが入る。


「え……え?……なにこれ?どういうこと……?」


「さくら先輩はかのんとだけロケしてたんでしたっけ?」


「え?なに言って……」


 そしてそのままオレはさくらちゃんの前に姿を現し、画面には3人の3Dアバターが並んで映し出される。


「お疲れ様!さくらちゃんw」


「は?配信中ですよ?なにやってるんですか?」


「さくら先輩。画面観てくださいw」


「え?ちょっ!えええええええええ?!?ヤバっ!はっ?え!?」


 コメント

『姫のドッキリか』

『姫来たぞw』

『うおおおお!』

『警部驚きすぎだろw』


 とりあえずマイクをミュートにしてもらい七森さんに軽く説明することにする。


「七森さん。驚かせてごめん。オレが姫宮ましろなんだ」


「へ?……え?本当……ですか?あの……彩芽本当?」


「はい。私のマネージャーさんはましろん先輩です」


「嘘……ごめんなさい頭が混乱して……」


「とりあえず七森さん。詳しい話は配信終わりに説明します。まだ配信中ですから、オレが男だということ、あとは彩芽ちゃんのマネージャーだとは言わないでください。お願いします」


 そう言ってオレは七森さんに頭を下げる。そしてマイクのミュートを戻すことにする。


「ということで……『まだ見ぬ姫宮ましろがスタッフとして同行している』ドッキリでした~!パチパチッ!大成功かな?協力してくれたスタッフさん、企画を了承していただいたPastelパティさん、あとかのんちゃんありがとう!どうだったかなさくらちゃんw」


「え?いやあの本当に……驚きすぎて……」


「ごめんね。普通に対面しても良かったんだけど……なんかこのほうが『まくら』っぽいかなって思ってさw」


「やられたぜい。あ~!本当にビックリしたぜい!とりあえず……あの遠山さくらです……やっとお会いできましたねw」


「あはは。うん。初めまして姫宮ましろです」


 こうしてドッキリは無事に大成功を迎える。配信も盛り上がりをみせてこちらも大盛況のまま終わるのだった。

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