614. 姫は『経験』したようです
そしてオレたちは日光東照宮の見学を終え、次の目的地の温泉旅館に移動する。駐車場から見えるその旅館は、木造でかなり歴史を感じる感じの佇まいだ。
先に着いていたスタッフさんと合流し、オレたち一行はそのままロビーを通り、部屋に案内される。安心してくれもちろん2人とは別部屋だ。
そして、夕食の前に温泉に入ることにする。大浴場に向かいオレは湯船に浸かりながら、今日1日のことを振り返る。
……なんか、楽しかったな。もちろん仕事だけど、それでも彩芽ちゃん以外の誰かと旅行するって初めてだし、こうやって楽しく話しながら過ごすのも悪くないかもな。
そして身も心も温まったので部屋に戻ることに。部屋に戻るとそこには、同じく温泉に入っていた七海と明日香ちゃんの姿があった。浴衣を着ているせいか妙に色っぽく見える気がするのは気のせいだろうか?……偉大だよな浴衣って。
「あっ颯太。こっち座んなよ」
「おう」
「なんか七海ちゃんと颯太っちっていつも隣同士だねw」
「え?そう?たまたまじゃない?じゃあ明日香が隣に座る?」
「アタシでいい颯太っち?七海ちゃんの方がいい?」
「いやどっちでもいいよ。というか2人が隣同士で座ったらいいんじゃないか?」
「あ。やっぱりアタシじゃ嫌なんだw」
「そんなことないだろw」
確かに……特に意識したことはなかったけど、なぜかいつもこの並びに座ってるんだよな。1期生が集まるとこうだから仕方ないのかも。それに立花さんや月城さんの隣だと緊張するしな。そのまま料理が運ばれオレたちは夕食を頂くことにする。
「う~ん!この山菜の天ぷら美味しいよ!ほら見えるかなこれ?サクサクしてあっさりしてヘルシーだよね」
「ポアロ探偵って野菜食べれるんだw」
「姫さぁポアロのこと子供だと思ってるの?」
「いや、いつもアイスとかお菓子ばっかり食べてるからさ」
「お子ちゃま舌じゃないんですねw」
「えるるまでなんだよ!お子ちゃまはどこかのクソガキコンビだろw」
その料理も豪華で、撮影をしながらとても美味しくいただくことが出来た。残りは最後の締めのシーンの撮影を残すのみとなった。
「ということで、今回の『ルート47。あなたの街にお邪魔しちゃいます!』はこれで終わりだけど、どうだった?まずは姫」
「すごく楽しかったよ。ほらましろはあまり外に出ないしさwこうやって他のライバーさんとも交流できて良かった。ありがとうね2人とも」
「まぁこれが始まりってことでいいんでしょ姫?」
「え。まぁ……そうだね……機会があればかなw」
「絶対行かないじゃんそれwでもルート47だからさ、また姫が誰かと旅行する日は来るから楽しみにしておくよ」
ルート47……2人~3人……確か今ライバーは21名……絶対回ってくる。しかも事務所はこれをバラエティー枠の柱の1本にするって言ってたしな……
「じゃあ次はえるる」
「はい。この企画決まってから、アタシ本当にめっちゃ緊張してたんですよ。姫先輩とは初めてですし、ポアロ先輩ともそんなに裏で出掛けたことないし。でも2人とめっちゃ仲良くなれた!」
「そうかもね。あっそうそう!えるるは姫とめっちゃ距離縮まったんじゃない?ほら呼び方がさ?なんて言ってるかは言えないけどw」
「それ言わなくていいですよ!でも姫先輩の許可出てますからw」
「うん。配信でも呼んでいいよ?」
「えぇ!?アタシ親衛隊に怒られない?あとかのん先輩にもw」
……どうなんだろうか。確かに彩芽ちゃんは怒る……というか不機嫌になりそうだけど。
「最後はポアロ。姫とえるると旅行したことなかったから楽しかった。やっぱり事務所とかでは会ったりするけど、こうしてゆっくり話す機会はあんまりないからさ、この企画を通して色んな人と関わるのはこれからの活動にも大事だなって思ったよ」
「なんか真面目なんだけどw」
「ポアロ先輩らしくないw」
「なんだよ!別に普通じゃん。まぁこの企画で新しい組み合わせがこれからも増えるといいよね。ということで、今回はここまで。これからもポエマーの3人をよろしく!」
その言葉を最後にオレたちの収録は終わった。七海と明日香ちゃんとは企画中も色々話せたし、元々歳も近いし、こんなに話すことなんて今までなかったのでオレにとってもいい経験になったと思う。