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第1章 第3話 初仕事⑧

 男の人が走って来た。先ほど全裸で私にぶつかった男の人だ。私のところで止まって、切らした息を整えると


「あの、助けていただいてありがとうございました!」

 体をくの字に曲げてお辞儀した。


「貴方たちは、俺の命の恩人です。本当にありがとうございます!」


 何度もお礼を言って、その人は去って行った。



「気持ちええやろ。ヒーローは」

「……はい」


 私ら死体片づけただけだけどなぁー。と思ったけど空気を読んでおいた。蟹原部長と並んで、朝焼けを眺める。コーヒーを啜ると、徹夜明けの体に染みわたった。


「この仕事は確かに辛いこともある。やけど、さっきみたいに助けた人がお礼を言ってくれることがあるんや。それが一番ワイは嬉しい」

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