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第1章 第4話 ヒーローの敵(アンチ)①

「痛い! やめて! やめて!」


 兄が奇声を上げながら、私の髪を引っ張っている。私はそれを眺めている。しばらくすると、裸になって兄が私にまたがってぐるぐる回って、カフェオレみたいに一つになって混ざり合った。




「何、君。高校生なのに妊娠したの? 破廉恥だねぇー。あ、大学生?」

 へらへら笑った中年の医者が、長い綿棒を私の中に刺して掻き混ぜた。


 痛い! 痛い! 痛い! ぐるぐるぐるぐる。泣き叫んで、ぐるぐるぐるぐるぐるぐる。回れ。回れ。世界なんて、全部ゴミだ。





 掻き混ぜて、掻き混ぜて、ぐちゃぐちゃになった。そうしたら、すべてが一つになって私は皿の上に並べられた。


 テーブルの前で座って待ち構えていた赤い瞳の化け物が、私を食い散らかしている。それを、私は見ていた。ずっとずっと、見ていた。

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