ドキドキしながら部屋に入る。応接間と出入口上のプレートに書いてあった。蟹原部長はソファーに座っていた。
ちら、と恐る恐る顔色をうかがう。
「おう、座れや」
「はっ……はい!」
思ったより怒ってない……?
「猿山の仕事とお前の仕事、交換することになったわ」
「はい?」
猿山は、眼鏡をかけた小太り低身長でロリコンの小汚いおじさんだ。私と目が合うと睨みつけてくる。あとポチを虐める。
「うんうん、やっぱ世間知らずなみっちゃんにはそっちのほうがええよな」
蟹原部長は腕組みしてるし、自己完結してなんか一人で納得してるし。
「あの、すみません。話が見えないんですが」
「これ獲物な」
こちらの質問に答えずに、蟹原部長は懐から拳銃を取り出してガラス製のテーブルに置いた。カツンと、可愛い音がした。……拳銃は可愛くないけどね。
「ちょっと構えてみ?」
「えっ」
「大丈夫や、弾は入っとらん」
「こ、こうですか……?」
重ッ! アニメとかだと二丁拳銃バンバンぶっぱなしてるキャラいるけど、現実だと絶対無理だ。
「撃つ直前まで、引き金に指はかけるな」
「は、はい!」