居酒屋で見た人喰のことを思い出す。ポチがバールのようなものでサクッとボコって倒したけど、前は人間がやってたんだよね。
今日蟹原部長に渡された銃の重さがまだ手に残ってる。私があと数年生まれたのが早かったら、ポチの代わりに人喰を銃で退治する仕事をやっていたんだろうな。
「今は安全よ。戦闘はほとんど
アイリさんはさっきとはうってかわって、明るい声で言った。
「よかったですね」
よかった……か。目の前の先輩にあわせるためとはいえ、残酷だなと自分でも思う。安全、誰も死なない、だからよかった……それは全部人間の都合で。じゃあ、それじゃあポチはどうなるんだろう。人間の都合でずっと戦って、傷ついて……。
「
どくん! と心臓が跳ねた。アイリさんはこちらをじっと見ている。その見透かすような目が、なんとなく居心地悪くて目をそらした。
「みっちゃんは、ポチくんのこと好き?」