「朝起きたらさ、リビングが血まみれで。当時部長の奥さん妊娠中でね、テーブルの上に、内臓とかと一緒に赤ちゃんが引きずり出されてたんだって」
そのおぞましい光景を想像して、ごくりとつばを飲む。
「
忘れたい、忘れかけてた二人の顔が、されたことや言われた言葉が脳裏にフラッシュバックして吐き気が込み上げてきた。
殺されてよかった、なんて言えなかった。アイリさんの殺意のこもった瞳を見ていると、彼女もきっと誰か大切な人を人喰に殺されたんだろうなって察してしまったから。
不意にふわっ、と優しい表情でアイリさんは微笑んだ。
「みっちゃん、ごめんね~。でも、自分が女だってことを忘れないで。
椅子から立ち上がり、弁当と飲み物の入っていたゴミを片手に持つと、じゃあね、と手を振って彼女は去って行った。