『大きな車ですねー。何に使うんですか?』
『死体を運ぶんです。人間の死体、人喰の死体に分けます。人間の死体は警察に、人喰の死体は研究所に送ります。希少個体は、生きたまま運ぶことも多いです』
『なるほどー』
プレイングルームのソファーに座ってテレビをぼーっと眺める。ポチに『一緒にウォーリーを探しましょう!』と誘われて来たのだが、私は一応成人ゆえ早々に飽きてしまって、一人テレビを見ることにしたのだ。
私のうしろでは、ポチがぶつぶつ言いながら必死にウォーリーを探している。今開いている絵本の他にも、机に十冊ほど同じシリーズを積んで置いており、かなりハマっているみたいだ。
こうしてみると本当に、人間(の幼児※ただし二十五歳である)にしか見えない。
『こうして捕らえた人喰は研究所に渡され、自動車の安全設計や医薬品の臨床治験などに使われます』
『害獣でも、私たちの生活に役立つんですね!』
『そうですねー』
何が害獣だよ。テレビのナレーションに、心の中で悪態をついた。
『こうして、人喰管理委員会は人々を守り、社会の平和に貢献しているのです!』