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第2章 第4話 対等でいたいから①

『大きな車ですねー。何に使うんですか?』


『死体を運ぶんです。人間の死体、人喰の死体に分けます。人間の死体は警察に、人喰の死体は研究所に送ります。希少個体は、生きたまま運ぶことも多いです』

『なるほどー』




 プレイングルームのソファーに座ってテレビをぼーっと眺める。ポチに『一緒にウォーリーを探しましょう!』と誘われて来たのだが、私は一応成人ゆえ早々に飽きてしまって、一人テレビを見ることにしたのだ。


 私のうしろでは、ポチがぶつぶつ言いながら必死にウォーリーを探している。今開いている絵本の他にも、机に十冊ほど同じシリーズを積んで置いており、かなりハマっているみたいだ。


 こうしてみると本当に、人間(の幼児※ただし二十五歳である)にしか見えない。




『こうして捕らえた人喰は研究所に渡され、自動車の安全設計や医薬品の臨床治験などに使われます』

『害獣でも、私たちの生活に役立つんですね!』

『そうですねー』


 何が害獣だよ。テレビのナレーションに、心の中で悪態をついた。


『こうして、人喰管理委員会は人々を守り、社会の平和に貢献しているのです!』

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