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第2章 第4話 対等でいたいから②

 私は、舌打ちしながらリモコンでテレビを消した。


 ポチの頭にゴルフクラブを振り下ろすときの、猿山の笑顔が頭から離れない。『ポチそれは人やないやろ』蟹原部長の氷のように冷たい目が、『誰か一人が犠牲になれば、みんなが救われるの』アイリさんの言葉が頭の中でこだまする。


 何が正義だ。何が平和だ。だけど、私に何ができる……?






「みっちゃ~ん」

 振り向くと、私が座っているソファーの背もたれにポチが頭と両手を乗せていた。


「何?」

「えへへ~」

 目が合うと、幼児みたいに顔をふにゃらせて笑った。特に用はなかったらしい。子供か。


 彼の頭の上に手を掲げて止める。撫でていいぞと言わんばかりに頭をこちらに突き出したので、わしゃわしゃしてやった。うわ、ふわふわで気持ちいい。黒猫を撫でているみたいだ。


「ふにゃぁ~」

「よしよし」


 しかしまぁ、こんなに可愛い生き物に暴力を振るうなんて信じられない。人喰管理委員会ここの人たちは本当に狂ってる。


 でも、非力な小娘である私に体制を変えることなんてできないから、せめて私にできることをしようと思った。私には、彼と対等でいることぐらいしかできないから。だから、


「ねぇ、ポチくん」

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