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第2章 第4話 対等でいたいから③

「んにゃぁ?」

 あ、返事がまだ猫のままだ。私はポチの髪から手を離した。もっと撫でろと不服そうな顔をしたが、いったん見なかったことにして


「ポチくんって本名はなんていうの?」

「人間だったころの名前ですか?」

「え? あうん」


 そっか。人間が人喰ウィルスに感染して、死んで、そのあとにウィルスが死体を乗っ取ったものが人喰になるんだから、ポチも生まれたときは人間だったんだ。


「ありますけど……」

「じゃあそっちの名前教えてよ」


「えぇ……」

 ポチはあからさまに嫌そうな顔をした。


「あ、ごめん。なれなれしかった? でもさ、ポチってなんか犬みたいでさ。人につける名前じゃないって思って……その、酷いなって思うんだけど……。だから、人間だったころの名前で呼ばれた方がいいかなって」


です」

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