今まで見たことのない、はっきりとした拒絶だった。
「すごくダサくてつけた親に殺意がわくので……」
「そ……そうなんだ」
それでも、ポチよりはマシなんじゃないかな。とは思ったが。彼が鼻にしわを寄せて本気で嫌がってるみたいだったので、言わなかった。
「別に犬でもなんでもいいです。僕はバケモノ、人間扱いなんてしなくていいです。みっちゃんのそういう気遣い……迷惑」
「……そんな」
「それに、この『ポチ』って名前は先せ……大切な人に貰った名前ですから」
大切な人。たぶん、言いかけた言葉は『先生』。でも、大切な人に貰った名前が『ポチ』ってそんなの悲しすぎるよ……。
それに人間扱いしなくていいって、迷惑だなんて……。私の彼を『可愛そう、何とかしてあげたい』って思う気持ちもきっと、彼には不快なんだろうな。
私のやってること、やろうとしていることも多分、彼は望んでない。全部、私のエゴなんだ。でも、それでも。