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第2章 第5話 狂気なる平穏①

 朝。目覚ましの音が鳴った。うーん、もうちょっとだけ……目覚ましを止めて、二度寝した。五分後、目覚ましが鳴って、今度こそ起き上がる。


「ふぁあ」

 私は大きく伸びをした。なんでだろう。一回二度寝しないと、しゃっきり起きられないんだよね。


 ベッドを降りて、スリッパをはく。通販で買った可愛いうさぎのスリッパだ。洗面所に行って顔を洗い、髪を耳の上で2つに縛って、冷蔵庫からゼリー型飲料を取り出して、リモコンでテレビをつけた。




『えー。昨今ネットでは誹謗中傷が横行しておりましてね~。えー、自殺する人もいるみたいで、えーこれは大変な事態ですよ』

『そうですね。先日のお笑いタレントのSNSでの発言が話題になっておりますが、専門家の××さん、これどう思われますか?』





 テレビを見ながら朝食のゼリー飲料を啜る。


『あのですねぇ、ネットでは相手の顔が見えませんから、発言がエスカレートしていくんですよ』


 じゅるじゅる。


『なるほど~』

『それにですね、この『いいね』機能が問題でですね、これが増えると承認欲求が満たされる。えー、つまり他人からの注目や賛同を得るために、過激な発言をして目立とうとするケースもあるわけなんですね』


 じゅるじゅるじゅるじゅる。


『なるほど~。××さん、ではこういった問題を解決するにはどうしたらいいと思いますか?』




 じゅるじゅる……ずご。あ、ゼリーをすべて吸い尽くしたみたいだ。ぺったんこになったゼリー飲料の容器をゴミ箱に捨てた。化粧をして、パンツスーツに着替え、ハイヒールを履いて部屋を出た。



 消し忘れたテレビからは、まだニュースが流れていた。


『えー続いてのニュースです。昨日、日経平均株価は急落し4,451円28銭安の31,458円42銭で取引を終えました』

『株、怖いですねぇ』

『××証券の××さん~、解説お願いします』


『はい。えー、


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