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第2章 第5話 狂気なる平穏⑦

「もう癒しは君だけだよ、ポッくん」

 彼が握ってきた手を握り返しながら、私は呟いた。


 ここは社内のプレイングルーム。漫画とゲームがたくさん詰まった本棚と、大きなテレビにボロボロのソファーが置いてある。そのソファーに座って、今私とポチの二人でホラー映画を見ている。


「怖いかもしれないので、手を握っててくれませんか?」

 と言われたので、映画が終わるまでおててを繋いでいるのだ。かわいいね。


 ポチは映画の怖いシーンが出るたびに

「ヒッ!」

 と悲鳴を上げながらビクリと体を震わせてる。それに、映画が進むにつれてだんだん手が汗ばんでいく。


 私はあまり怖さを感じない方だし、この映画はよくあるZ級ホラー映画なので、映画本編よりもガタガタ震えて大げさに怖がっている彼を眺めている方が面白かった。

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