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第2章 第5話 狂気なる平穏⑩

 一人で怖くてトイレに行けないとポチが言ったので、私は男子トイレの外で待機している。何度も


「ぜったい、ぜったい外で待っててくださいね! ぜったいに、どこかへいったりしないでくださいねっ!」

 と念押しされてしまったので、仕方なく青い男マークの看板下で立っているのだが……。


 うーん、こういうのって女側が言い出すものなんだけどなぁ。




 しばらくすると、男子トイレからすっきりした顔のポチが出てきた。

「あ、頭に埃ついてますよ」

 手を伸ばしてきたので


「ちょっ、手、洗った?」

 手で制止する。頭も動いたので、埃の塊がぽとりと足元に落ちた。ポチはきょとんとして


「はい」

 ポケットからハンカチを取り出すと


「ちゃーんと洗って、ちゃーんと拭きました」

「あ、そのハンカチ私も同じの持ってる」

 ハンカチを取り出して見せた。


「おそろい」

「ですねぇ~」


 私は黄色のうさぎさんのハンカチ、彼は青色のうさぎさんのハンカチ。私たち気が合うかもしれないね、みたいなことを話して、はっ……やばい。早く医務室に行かないと。

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