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第43話 合流

 ギルマスの部屋を出て受付カウンターを出ると、冒険者達に囲まれた。



「出発はいつですか!? まさか今日中ですか?」



 ルークが強引に近寄ってきて質問をしてくると、後ろに居たギルマスが大声で今後の発表を始め、注目を集めている隙にギルドを抜け出し一時帰宅をした。



「はぁ……討伐より疲れたなぁ」


「は、はい……疲れましたね」


「うん。つかれたぁ〜。お菓子美味しくなかったぁっ」



 美味しくないという割には完食をして、俺の分のお菓子にまで手を伸ばしてたよな? しかもアリアのお菓子を欲しそうに眺めていたので、アリアが気付き俺を通してお菓子を貰っていたよなぁ? 美味しくないって、アリアのお菓子と比べちゃ……ダメでしょ。


 家に入るとアリアが昼食の準備を始めようとしていたので、作り置きをしていた以前の料理を出して昼食を済ませた。



「ホントに便利だよねぇ〜その収納って」


「アリアも持っているだろ?」


「うん。持ってるー♪ でも、つい忘れちゃうんだよね」


「そうなんだ? 俺は取り敢えず保管をしちゃえって感じで使ってるなぁ」


「そっかぁ〜そうすれば良いのかぁ♪」



 2時間ほど休憩をして、ダンジョンへ向かうことにした。2人は緊張していなく普段と変わらない様子だった。俺は今回は、少し楽しみにしている。いざとなったら転移で逃げれば良いし、それより負ける気がしない。



「そろそろ出掛けるか。準備は良いか?」


「いつでも大丈夫だよ」


「うん。行こぉ!」



 さっそく西のダンジョン付近に転移をすると、思った通りに魔獣が辺りに溢れていた。草むらに隠れ潜み辺りを結界で覆った。音を立てたら魔獣や魔物が集まり面倒だしなぁ。



「さ、どうしようか。前回みたいに魔力弾で侵入するってのは無理そうだな」


「そうだね、数が多すぎるね」


「わたしも無理、森の中で必死だったもんっ」



 ミーシャも勉強になったみたいだな……大量の魔獣と戦う大変さを。今回は非常時らしいからズルをするか……


 そんな時に魔獣達が何かに反応をして、慌ただしく動き出した。


 何事だ? この反応は、獲物か敵の侵入でもした感じだぞ?



「ねぇ。ユウくん……おかしな動きをしてるよ。なんだか慌ててるみたいよ?」



  周りの気配を探ってみた……


 この反応は……まさかルークのパーティじゃ? それしか無いだろ。でも数が……多いんですけど。ギルマス……約束が違うって……拒否権がないんじゃなかったの!?

 これじゃ助けに行かないとじゃない? 人数は居るけど戦力不足でしょ。


 仕方ないのでダンジョンの入口を塞いで……周りにいる大多数の魔獣の魔石を回収をして、転移を近くまでして魔物を倒しながら来た風を装い駆けつけた。


「な、何をしに来たんですか!? ギルマスから任命があったと思いますが!?」


「置いていくなんてヒドイじゃないですか! 何を言ってるんですか! そんなもん蹴るに決まってるでしょ! いや、決まってるじゃないですか! ギルマスは『ダメだ。ダメだ』しか言わないんですよ? だったら冒険者を辞めるって冒険者証とタグを受付カウンターに叩きつけてやりましたよ! わっはっは!」



 あ、そうですかぁ……


 後ろのパーティと他の人達も頷いているので、同じ事をしてきたんだろうなぁ……。好意でしてくれたんだし……追い返す訳には行かないしな……と、いっても連れてダンジョン内に入るのも……ハッキリ言って足手まといで探索の邪魔だしなぁ……

 あ。でもルークさんは、このダンジョンに詳しいかも?詳しくなければ必要ないけど……



「ルークさん、このダンジョンに詳しいですか?」


「ええ、何度も探索をしてますよ。ほぼ毎日、どっちかのダンジョンに通ってますよ。魔石を高く買い取ってくれますしね」



 高く買い取ってくれるのか……更に強い魔獣の魔石を回収をしちゃったけど、しかも大量に!

 じゃなくて!他の人にはケガ人の治療と回収を頼むかぁ〜それを言い訳にして、Sランクになっているし転移を使っても問題ないよな? 村に追い返そっと。

 カリスマで先導をしているルークを手元に置いておけば、余計な事をするやつはいないだろ。



「それでは、これからケガ人の捜索、治療を初めましょう! ダンジョンの変化に気付かず取り残された者がいるとおもいますので、お願いしますね! 俺が指示しちゃって良いのかな?」


「それは当然ですよ。若様はSランクですし! 従わない奴がいれば……俺が!」



 指示に従わない人は居ないと思うけど、これ以上……ケガ人を増やさないで欲しい……


 ダンジョンの周辺の負傷者、取り残された者の捜索をして全員を一箇所に集め村に転移を使い送り返した。


 よし。有無を言わさず強制的に……後で、文句を言われそうだけど邪魔なので仕方がないだろ。付いてきたら明らかに死ぬだろうし。


 転移を使ったので、ルーク達は呆然と消えた冒険者達の居た場所を眺めている間に、ダンジョンの入口に大量に居た魔物や魔獣の魔石と素材の回収をして、山の地中に埋めた。


 これでダンジョンへ入る準備が出来たかな。ルーク達は未だに呆然としていた。転移ぐらいで驚いてたらダンジョンへは入れないと思う。見応えのあるアリアの魔法に、ミーシャの戦闘は更にすごい。ルーク達の驚く顔が目に浮かび、笑いそうになるのを堪えた。

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