無事に討伐が出来たし、今回って……低級の魔法を少し改良しただけの魔法で倒せたんだよな。しかも相手の魔獣はSランクの魔獣なんだろ? 工夫次第で倒せるんじゃん……まぁアリアも、今じゃAランクだしな。
アリアとミーシャが二人で喜んでいる姿を眺め、幸せな気分になった。
俺のパーティすごいな。仲も良いし……パーティでもあり、嫁さんなのか。
「どうなったんですか!? やっぱり若様が?」
「いいや。俺じゃないよ。俺は見てただけだし……ミーシャとアリアが連携を取って討伐したよ」
「そ、そうですか……それは……すごい。同じAランク冒険者として各の違いを感じます……とてもじゃないが俺達が束になって掛かっても勝てない相手でした」
「だろうね。このダンジョンの雑魚敵に、瀕死にさせられていたんだからね。あの二人なら一人で瞬殺できるからね」
他のやつにランクが同じだからといって、同格だと思われたくないし。ついキツメに言ってしまった。
「残敵掃討でもして帰る? その辺に残ってると思うよ」
オオカミ型の雑魚敵が数体入口から入ってくるのが見えたが、薄暗くて5人には見えて無さそうだった。
これじゃ5人には、明らかに不利だな。少し助けるか……
ライトの魔法を使い洞窟の空間を照らし出した。暗闇が昼間の外のように明るくなり、眩しいほどだった。
「ユウくん、急に止めてよ……眩しい!」
「うにゃぁっ! 目が痛い……ユウちゃん!」
「ごめん。ごめん! 俺も……目が痛い! すっかり忘れてた……」
ルークのパーティが明るさに驚き、恥ずかしそうにライトの魔法を解除していた。
「さ、雑魚敵が現れたよ」
「いやいや……ムリです。また、致命傷の傷を受けちゃいますって!」
入口から入ってきたオオカミ型の魔獣が、気付き猛スピードでフェイントを加えて襲いかかってきた。
「ほら、急がないと……やられちゃうよ」
「勘弁して下さい!」
何を血迷ったのか、オオカミ型の魔獣が俺を狙ってきていた。
ん……少し弱らせておくか。それに止めを刺させて……? 自信を付けさせる? 勘違いして挑まれても困るか。
考えている間にも、距離が縮まり眼の前まで来ていた。反射的に手を翳し魔力弾を放った。
パシュッ! ドカッ! ……ドサッ。
あ。倒しちゃった。まぁいいか。帰ろ……
「悪い。反射的に……倒しちゃった」
「いや……助かりました。無理ですって」
「そう。じゃあ帰るよ。もう、終わったんだよね?」
「はい。2つのダンジョンのボスは、倒しましたし依頼の討伐は完了しました!まさか……1日で2つのダンジョンを終わらせられるとは……」
そうそう……ダンジョンの宝も回収しておかないとね。一応俺に権利があるわけだし。西のダンジョンのも忘れずに回収してあるし。帰りますか。
村に転移で帰ってきた。
「わっ。もう村に……帰ってこれたんですね」
「歩いて帰るのダルいでしょ。2日掛かりだっけ? 嫌だよ……」
「それが普通なのですけどね」
ルークとシルが声を揃えて小さい声で呟いた。
「ん? 何か言った?」
勿論、聞こえていたけど……聞こえていないふりをした。面倒だし。
村の中を歩いていると、他の冒険者達が群がってきたので、ルーク達が仕切りだした。
「おい。お前ら、邪魔だぞ! こっちは討伐が終わって疲れてるんだぞ! ほら! 離れろ! 道を開けろ!」
ルーク達のお陰で、絡まれずにギルドまでゾロゾロと大勢の冒険者達を引き連れて戻ってきた。
なんだか偉くなった気分かも。村の人々からも尊敬の眼差しを受け嬉しい! でも恥ずかしい……
ギルドに入ると、また冒険者達が集まってきた。
「おい。お前ら……どけどけ! 道を開けてくれ……こっちは疲れてるんだぞ!」
さすがはAランクの前衛達だな……軽々と片手で押し退け道を作ってくれた。待ち構えていたかのようにギルマスが現れた。
「お疲れ様でした。……それで、討伐の方は……?」
「あ〜うん。3箇所、無事に終わって帰ってきたよ」
「え? 2箇所じゃ!?」
「ギルドへ来る前に終わらせてあったからね」
「……おいおい。1日に3箇所かよ……すげぇな……」
ギルマスが心配そうな表情をして、ルークの方を見た。
まぁ。それは仕方がないだろ。信じられる訳がないと思う。
ルークに事実確認をしたいのだろうな。
「ルーク、ギルマスに報告を頼むよ。お腹が空いたから食堂で夕食を食べてるよ」
「お任せ下さい!」
食堂でアリアが注文をしてくれ、テーブルにうつ伏せになって待ちたかったが……ミーシャが膝に寝てきたので、それも出来ない。
食堂の従業員が料理を運んできてくれた。
あれ? セルフサービスじゃ? たしか呼ばれて取りに行くんだったよな?
「はいよ! 村を助けてくれてありがとな! それと、これは食堂の皆からの奢りだ! たっぷり食ってくれ!」
「え? 悪いですよ。払いますって」
「素直に受け取ってくれよ。感謝の気持なんだからよっ」
「……ごちそうになります」
「ありがとうございます」
「ありがと、お兄ちゃんっ!」
アリアとミーシャもお礼を言って食べ始めた。注文を完全に無視をされて、それ以上の物が色々と運ばれてきてテーブルが色々な料理で、いっぱいになった。