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第50話 遊ぶって何をするんだ?

「わぁっ。スゴイ! これなら皆で寝れるね!」



 そう言うとミーシャとアリアは部屋に戻って行ったと思ったら、二人が枕を抱えて戻ってきた。



「え? ここで寝るつもりなの?」


「うんっ♪」


「うん。 婚約したし……皆で寝よ? いつもミーシャちゃんだけズルいよぉ」


「えっと明かりを消すと、この部屋は暗くなるよ? オバケが出るかもよ?」


「えぇ〜ユウちゃん、コワイの〜?」


「さっきまで、3人で暗い洞窟にいたでしょ〜」



 あぁ……そうだった。暗くてコワイってのは効かないか。どうにかして回避をって考えてたんだけど。諦めて、大人しくしてるか。


 思った通り、俺が真ん中で二人に抱きつかれて身動きが取れなくなった。


 二人から良い匂いがしてくるし、抱きつかれて柔らかい感触がするし……気になって寝れない。



「あ……おやすみのキスは……してくれないの?」



 隣で寝ているアリアが、上目遣いで小さな声で呟いた。


 はぁ? え? この状況で?



「えっと……婚約をしているだけで、結婚はしてないからダメだろ……」


「うぅ……ちゅっ♡ おやすみっ」



 アリアから唇にキスをしてきて、布団に潜り抱きついてきた。それを見ていたミーシャは……



「ユウちゃん、ちゅぅ……しよ」



 ……ミーシャだけを、断れないじゃん。ミーシャの笑顔がコワイ。


 グイグイと顔を近づけ、俺が返事をしていないのに柔らかい唇が触れ合い、唇が吸われるとちゅぅ……ちゅぅ……と音を立てた。



「み、ミーシャ……長い、まだ……?」


「まだぁ……♡ ちゅぅ すきぃ♪」



 アリアにバレたら怒られるじゃん? あれ? もう寝てるっぽい? そういう問題じゃないか。



「早く寝ないと、早く起きれないぞ。起きれなかったら、置いていくからね」


「もぉ。いじわるぅっ。ん? 何処かに行くの?」


「村に戻って、ギルドに顔を出さないとだろ? ルークとかにも合わないとなぁ……また、明日来るって言っちゃったし」



 話している間にも、俺の頬に頬ずりをして甘えてきている。


 ホントにミーシャは、甘え上手だよなぁ……。ネコだからか? いや……ネコはあまり甘えてこないよな? 多分……。気分屋なイメージで、群れを作らず単独で狩りをするよな。あ、でもライオンは群というか家族で狩りをするか……



「そうなんだっ! わたしも一緒に行くっ♪」


「だから早く寝て……」


「はぁいっ……ちゅぅ♡」



 ミーシャに、ギュゥっと抱きしめられキスをされ、しばらくすると力が抜けて寝息が聞こえてきた。二人の寝息を聞いていると自分もスッと眠りについていた。



 朝起きると、二人共朝食作りをしていて朝食の良い香りが漂っていた。昨日は早く寝たせいか、疲労は無くなり体が軽い感じがする。



「おはよ。皆、起きるのが早いねー」


「早く起きないと、置いていかれちゃうっ!」



 あぁ……そんな事を言ったっけ……。そんなに朝早くからギルドに行っても混んでるだけでしょ。依頼を受けに行くんじゃないんだし。ルークやギルマスに会いにいくのと、買い物をする予定だけだから、昼過ぎでも良いと思う。



「そんなに慌てなくても大丈夫だって。午前中は、ゆっくり過ごさないか?」


「賛成っ♪ ユウちゃんと遊びたーいっ!」


「わたしも〜♪」


 ミーシャは、分かるけど……アリアまで?? そういえば最近は、討伐ばっかりで遊んでないなぁ……。森の調査もできるし、森で遊んみるのも良いかもな。結界付近にいる魔獣も減ってるっぽいし。


「そうだな。久しぶり……か? ……3人で遊ぶのは、初めてかもな」


「そうだよ。3人で遊んだことないよっ」


「うぅ〜ん……ないよね〜」



 朝食を食べ、3人で村を出て森に入った。魔獣の気配は無く、獣を数匹程度を見かけたくらいだった。


 遊びと言っても……俺は、獣用の罠を仕掛けたり自分の趣味をして、アリアは薬草や山菜の採集をして……ミーシャはイノシシを狩っていた。

 魔物や魔獣が出ても一人でも討伐が出来るようになっているし、お互い好きな事をして遊んだ事になるのか? これは……3人で遊んだ事になるのか疑問だが楽しいなら、それで良いか。


 森に入った感じは、以前と違い魔物や魔獣の出現率がかなり落ちて平和になった印象だ。だが出現はしているので対応が出来る者じゃないと危険かな。


昼近くになり、アリアは俺の近くで採集をしていたので合流し、ミーシャは強引に転移で合流させた。



「わぁっ。なに?? えっ?」


「楽しめた?」


「もぉ。今、獲物を追いかけてたのにぃ。楽しめたよっ! いっぱい獲れたぁ〜」



 ミーシャが獲れた獲物を異空間収納から取り出し見せてくれると、獣が5体も獲れていた。イノシシが3体、シカが2体だった。


 こんなに獲れるなら売りに行って、現金収入にもなるな。



「じゃあ、獲れたのを料理して食べたら、村へ行くか」


「「はーい」」



 家に帰らずに、森の開けた場所で久しぶりに獲物を解体をして、シンプルに味付けをして焼いて食べた。



「これ楽しい! ねぇっ、またやろ? ね? わたしが狩りをするからぁ、皆で焼いて食べよ?」



 ミーシャは、気に入ったらしく楽しそうだった。俺も楽しく過ごせたし、アリアも笑顔で楽しそうだった。


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