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第58話 無事にケルと帰宅

 「ただいまー」


 心配そうな表情で3人が駆け寄ってきた。まさかのシャルまで心配そうな表情をしていた。しかも演技ではなさそう。


「ユウくんっ! 勝手に転移で帰宅させるんだもんっ。ひどいよっ。まだ戦えたのに! ちょっと油断しちゃっただけだよぉ」


「むぅ……わたしは回避したのにぃっ」


「それで、どうなったの? ……で、それなに??」



 シャルが足元を見て、不思議そうなモノを見る表情をして観察をしていた。


 あ、そっか……シャルは魔物や魔獣を見るのが好きだったんだ。昔から観察してたよな……いや。俺も、観察させられてたよな。


「あーダンジョンで拾った」


「え? 飼うの? わぁ〜すごい! ユウくんに懐いてるみたい!」


「まるでテイマーみたい!カッコいい」



 あぁ〜なんかそんな職業もあったよな。魔物、魔獣、獣とかを契約かなんかで操るんだっけ? 指示を出すんだよな……戦闘じゃ役に立たないって噂を聞いたけど? 討伐に向かう先より強い魔獣を用意しないとだろ? じゃないと勝てるわけがないし。 情報や撹乱、偵察、物資の運搬に役立つと思うけどね。テイマーねぇ……契約かぁ。


 その話を聞いたアリアとミーシャが呆然と、ケルちゃんを見つめ固まっていた。



「ユウくん……それって……」


「それって……あの時の魔獣じゃんっ!」


「もう安全だよ。なんか懐いてきたし」


「そう言う……問題じゃ……いつ襲われるか分からないよ!」



 ケルちゃんを見つめて、安全の為に命令をしておいた。



「お前は、パーティを命懸けで守れ。仲間を傷つけるな。俺の指示は絶対厳守だ」


「くぅ〜ん♪」



 ケルが可愛く返事を返してきて、足に寄り添い甘えてくる。怖い顔とギャップがあって可愛く思える。



「よし!」


「なにそれ……そんなモノで分からさせられるの?」



 シャルは多少知識があるのか、不思議がっているというか、不安そうな表情をしてケルを見つめていた。



「良いんだよ。俺達は、俺達だ」


「そうなの。襲ってもこなさそうだし……良いけど……でも強そうだよねぇ〜Aランクくらいかな?」



 シャルが座り、ケルを近くで観察をして勝手にランク付けをしてランクを聞いてきた。



「違うかな。S、SSランクくらいの魔獣だよぉ」


「は? そんなに……? こんな小さいのに??」



 驚いた表情をして、まじまじと見つめていた。アリアが小さいという言葉に反応をしてダンジョンで見た事を語りだした。



「もっと大きかったよ……この家より大きかったっ! それに素早さもスゴかった! 反応が出来なかったもん」


「えぇ? アリアちゃんが?? 反応出来ないって……相当だねぇ。ミーシャちゃんは、大丈夫だったの??」



 シャルは、アリアの力を認めているらしく、本気で驚いていた。



「うん。大丈夫だったよっ! ちょっと危なかったけどねぇ……えへへっ」


「ミーシャちゃんが、危ないって……どんだけの能力をもっているんだろ……気になるぅ」



 ケルの能力は……かなり高いと思う、身体能力、魔力、スキルなど未知の部分が多い。俺も気になるけど……そのうちで良いかな。



「そういえば……シャルって、テイマーに向いてるんじゃないのか? 獣や魔獣が好きなんじゃないのか?」


「うん。好きっ! でも戦闘に不向きじゃない? だから避けてたんだけど……戦闘に限界を感じちゃってるし、この際にテイマーも良いかもなって今、思ったの!」



 シャルなら、根気強いし子供の時から観察をしていたし、戦闘じゃなく支援に回ってもらえれば助かるかな。一緒に冒険も出来るし。正直必要ないんだけど……異空間収納あるし、探索魔法もあるしなぁ。シャルが満足して、楽しんでくれれば良いかなぁ、やる気になってるみたいだし応援をしてあげたい。



「明日、時間があったら魔獣の捕獲に行く?」


「行く、行くっ! 連れてって」


「しばらくは冒険者の依頼を受けないから、時間はいっぱいあるし、皆で出かけようか!」


「「賛成っ♪」」



 そういえば……俺、ギルドに行かないと……まだ討伐の報告をしてなかった。でも、討伐はしてないけど、更に今回の元凶を倒したんだよなぁ……報告はしなくても良いよな。



「俺、ちょっとギルドに報告に行ってくるわ」


「わたし達は行かなくても良いのかな?」


「うん。呼ばれたら迎えに来るよ。シャル……ケルにしつこくするなよ? 多分、瞬殺されるからな?」


「しない、しない! レベルが違いすぎるし……観察は良いでしょ?」



 怪しすぎる……観察もしつこかったからな……監視役を置いておかないと夢中になるからなぁ。


「良いけど。アリア、ミーシャが止めたら止めろよ??死ぬよ?」


「うん。分かった……夢中になっちゃうからねっ」


「良くご存知で」


「ユウくんに、毎回注意されてたし」


「だなぁ。じゃあ、行ってくるね」




 ギルドへ転移をすると、皆が帰りを待っていたので注目をされた。ギルマスも受け付けのカウンターの中で待っていたらしく駆け寄ってきた。



「ご無事で、何よりです……。それでですが、どうなりましたか? また現れる可能性は?」


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