「えと、今なんて……?」
「だから、
「って――」
「「えぇ!?!?」」
ちょ、ちょっと待ってくれ!?
「ん?なんや?確かにワイは
「いや、じゃあ普通気づくだろうが!?」
じゃあ逆になんで今の今までコイツは俺たちに気づかなかったんだよ!?色々気づきそうなところはあったぞ!
別の大陸から来たとかある人物に呼ばれたとか!
しかし、どうやら当の本人レザリオは未だによく分かっていなかったらしく、ここでやっと、
「ん?――ってお前らまさか、ワイが呼んだ奴らか!?」
「「そうだってッ!」」
俺たちの正体に気づいたのだった。
いや、ちょっと勘弁してくれよ……って事は今回ずっと一緒に行動するのは――コイツかよ……
---
「いやぁマジですまんかったな!」
「はぁ、もう良いから……」
「お前ら長旅で疲れたやろ?なんか美味いもん作ったるからな!――あ、なんか苦手なもん無いか?」
「無いから大丈夫だ……」
「そこのべっぴん3人組はぁ?」
「大丈夫よ……」「無いぜ……」「大丈夫……」
「了解したッ!」
「はぁ……」
俺は椅子に座って、ため息を吐きながら机に前から倒れ込む。
あれから俺たちはレザリオの家に行き、そして今、半ば無理やりご飯を食べさせられる事になっていた。
いや、腹は減ってるからそれは全然嬉しいんだが――それ以外で疲れ過ぎたぜ……マジで。
---
それから数分後、レザリオは俺たち4人が座るテーブルまでルンルンで食べ物を運んで来た。
「お待ちどうさまやで!さぁ、食べてくれ!」
「――あ、あぁそうするぜ」
と言っても、コイツ見た目的にどう考えても料理とか出来ないだろうから、全然期待はしていないんだが。
俺は身体をテーブルから起こすと、レザリオが運んで来た料理を見る――って!?
「な、なんじゃこりゃ!?」
「ふっ、どや?驚いたか?」
いや、驚いたも何も、これ豪華過ぎだろ!!
すると、そんな俺の声を聞いた他3人も、テーブルの上にある料理を見る。
「す、すごい豪華じゃない!」
「レザリオ、お前料理出来たのか!」
「ピザだピザー!」
そう、なんとテーブルの上に運ばれて来たのは、おそらく直径70センチほどあるであろう大きなピザに、焼きたてなのか湯気が出ているフランスパン、それを付けるクリームシチューなど……
いや、まさかこの世界にこんな食べ物があったとは!
今までラペルじゃ大体が小さなパンと目玉焼きみたいなメニューを永遠と繰り返してたもんだがら、まずこういう食べ物自体が存在しないと思っていたんだが――やはり実在したんだな!
「お、おいレザリオ……もう食べても良いよな?」
「ん?あぁええで」
「よし、じゃあ――」
「「いただきますッ!!」」
俺たち4人は声を合わせてそういうと、すぐに目の前にある豪華な食べ物に食らいついた。
「って、うんめぇぇ!!」
「ほんとに!これはいけるわね!」
「だよな」「うんうん!」
「そうか?そんなに美味いか?」
「あぁ!レザリオ、これだけはマジで尊敬してやるぞ!」
俺は今先程も最初に紹介した巨大なピザを食べているんだが、口に入れた瞬間に口に広がるチーズのコク、そしてそれを下で支えるモチモチっとしたパン生地に、上にかかったバジルソースの風味――と、そんな具合いに最高の味だ。
正直会ったばかりで全てを知った訳では無いが――まさかここまでコイツが料理出来るとはな!
レザリオは俺の横でめちゃくちゃウザいドヤ顔をしながら両手を腰に当てて威張ってるが……この際もうそれにもツッコまん!これはマジで美味いぞ!
(その後、その勢いのままに焼きたてフランスパンやトロトロクリームシチューも食べたが、どれもピザ同様、最高の味だった。)
そしてそこから食べ続けること数分後――
なんと俺たちはあれだけあった料理をあっという間に完食してしまった。
「――いやぁ……マジで美味かったぜ。――うっぷ」
「ね、こんなに美味しい食べ物を食べたのは久しぶりだわ」
「だよな!」「うん!本当に美味しかったよ!」
俺は椅子にもたれ掛かると、食後には必須の「おなかいっぱいゲップ」を連発する。
すると、そんな俺たちをずっとそばで見ていたレザリオは、笑顔で後頭部を擦りながらこう言った。
「いやぁ、まさか完食してまうとはな、これにはワイもニッコリやわ」
「いや、マジでお前料理の才能あるぞ?」
「ん?なんでワイが料理の才能あるんや?」
は?あれ?今俺なんか会話の流れに合わない返答したか?
今の感じだと「そうか?ワイに料理の才能あるんか?」みたいなことを笑いながら返してくるのが普通だと思うんだが。
「いや、だがら、今の料理。レザリオが作ってくれたんだろ?」
「え?違うで?作ったのはキッチンにおる家政婦さんや」
「「はぁ?」」
いや、でもコイツさっき「なんか作ったる」って言ってたじゃねぇか!
「お前、さっき何か作るって――」
「あぁ、あれは
「紛らわしいなぁおい!」
一体コイツはなんなんだよ……
食事の直後、体力回復したはずが、何故かまた疲れる俺であった。
---
食事を終えた俺たちは早速、何故レザリオが俺たちをこの街に呼んだのかを聞くことにした――――んだが……実はな、今はもうその話を終えた後なんだ。
いや、分かる。この話はどう考えても今回の件でトップクラスに重要なことで、そこを割愛するのはこの物語の語り部である俺にとって有るまじき行為なのだが――実はそれには理由があるんだ。
それは何かと言うと、レザリオが俺たちを呼んだ理由。それがあまりにも単純過ぎたから、という事だ。
まぁ、その単純過ぎる理由に呆れて語る気力も無くなった。ってのもあるが。
それじゃあ発表しよう。
今回俺たちがこの街に呼ばれた理由、それは――――
「なんか気になったから」だ。
うん、今ので終わりだ。
どうだ?ヤバくね?
まぁあのレザリオだからため息だけで済んだが――これじゃあ俺たちほんとに何しに来たか分かんねぇじゃねぇかよ。
全く……この男には呆れちまうぜ。
それに、そんなやつがこの街の中でも最強と謳われてるんだからもっと意味分かんねぇしな。
「はぁ……じゃあ私たちはただあなたが気になったから呼んだだけってこと……?」
「そうやな」
「何か一緒にモンスターを討伐しようとかも無く?」
「ないな」
ほら、さっきからこんな調子なんだ……呆れちまうだろ?
だから俺はそこで、思い切ってこう聞いた。
「じゃあ何か俺たちがこの街で出来そうな事は無いのかよ?」
正直、このまますぐにラペルへ戻っても良いが――せっかく来たんだし、(本来は来るのに金が掛かるからなんか勿体ないしな)何かしたかった。
それに――エスタリにも約束しちまったしな、土産話をしてやるって。
このまま帰ったらまたエスタリにからかわれちまうぜ。
すると、そんな俺のセリフを聞いたレザリオは腕を組んで少々考えた後、ふと何かを思い出した様に「せや、そう言えば――」そう言い、そしてこう続けた。
「ひとつだけあるで、帝都ティルトルの――いや、冒険者たちの祭りがな。」