「よう、スザク、ミラボレア、レザリオ」
「――って!お前ら!もう来てくれたんか!エラい早いやないか!」
「すまんなとうま、色々そっちでもある時に呼んでしまって。」
「いや、俺たちは全然構わないぜ。――それによ、」
「「?」」
後に付けた言葉に対して3人は頭にハテナを浮かべる。
それに対して俺は頭を下げると謝罪をした。
「サラマンダーを討伐した後に何も言わず、戻ってしまい本当に申し訳無かった。」
あの時は本当に頭が一瞬で真っ白になったから周りの事が考えられなくなったんだよな、
だから次会った時には絶対に謝ろうと決めていたんだ。
すると、それに対して3人は、
「何言ってんのや、お互い急用が出来ることなんか冒険者である限り何時でも起こるんやから謝る必要なんかないやろ?」
「あぁ、これに関してはレザリオの言う通りだな。気にする必要なんて無い。」
「そうよぉ〜」
「ってスザクお前!これに関してはってなんや!?ワイは何時も正しい事言うやろ!」
「何を言ってるか俺にはよく分からんな。」
「こんのぉ〜!!」
「――ハハ」
そうだそうだ、数日間会ってなかったから忘れてたぜ。
こいつらはそういうやつだったな。
「っし!じゃあ早速手紙に書いてあった事の詳細を教えてくれ!」
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「じゃあまずは、手紙内容のおさらいをするとするか。」
「あぁ、頼むぜ。」
「お前らがファスティ大陸に戻ってから、サラマンダーとは別の変異種モンスターが現れる時期じゃないのにも関わらず、またチュロント森に現れた。そして第1発見者によると、そのモンスターの横には白いローブを纏い、手に赤い宝石の様なものを持った人間が立っていた――と。確か手紙に書いたのはこんな感じだったな。」
「そうだな。」
するとそこで、レザリオが口を挟んで来た。
「でもやで?ワイは未だに納得出来てないんやが、なんでその現れた変異種モンスターは横に居った人間を攻撃せんかったんやろか?」
「――まぁ、今回起こった事の1番のポイントはそこだろうな。」
スザクのそのセリフに俺も頷く。そこの意見に関しては、同意だった。
確かに季節外れの変異種モンスターが、こんな短期間で2体も同じ場所で現れるのは意味が分からないが――それ以上に、非常に凶暴な性格をしているはずにも関わらず、話の内容だけで見れば横に居たという人間に全く攻撃しようとしていない事の方がよっぽど信じ難かった。
なんせ俺たちは目の前でサラマンダーが暴れるのを見てた訳だからな、マジで意味分かんねぇよ。
「それに、その手に持った宝石も何かありそうで不気味よね……」
「だな、なんかの儀式をしてる宗教団体かよって話だぜ。」
するとそこでそんな俺のセリフを聞いたスザクが何かピンと来たのか、腕を組んでブツブツ呟きながら思考し始めた。って、なんだ?なんか今俺変なこと言ったか?
「――いや、あれはないか、違う大陸……いや、」
「お、おいスザク……」
「――ッ!す、すまん。とうまが言った宗教団体って言葉に少し引っかかるヤツらが居てな……」
スザク曰く、ソイツらなら今回の事に関係していたとしても、そこまで驚きはしないのだと言う。そんなスザクにレザリオは、
「まさかスザクお前、ソルクユポの事言ってんのか?」
「あぁ、アイツらならこういう事にも関係してそうだろ?」
「せやけどやなぁ……」
「お、おい、一体そのソルクユポってのは何なんだよ。」
「――あぁすまんすまん。」
するとそこから、いきなり出て来た謎の単語「ソルクユポ」の説明が始まった。
まず、ソルクユポってのはそこまで大きくは無いが何かを信仰している宗教団体の様な物らしく、その情報の少なさから実は存在していないのではないか?とも言われているらしい。
う〜ん、確かに謎多き宗教団体とかなら今起こってる不可解な事に関係していても不思議じゃないかもしれないが……
如何せんだからと言ってそのソルクユポが関係してるって根拠も無いからな。
だから普通ならそんな意見すぐに落とされるだろう。
――それでもこうやってその可能性を考えてるって事は、それだけほんとに何も分からないという事なんだろうな、今起こってる事ってのは。
だが、そこでレザリオが再び口を開く。その内容は、おそらくスザクがずっと自分の言ったことに対して半信半疑だった理由だった。
「でもやで?ソルクユポは中央大陸やなくて隣の大陸、魔大陸に本拠地置いてるって話やなかったか?」
「あぁ、そうなんだよな。だから俺もずっとこの事に関しては半信半疑なんだ。」
おいおい……なんだよ魔大陸って……ソルクユポに続いてまたもや知らない単語が出て来やがったぞ。
なんか今日は色々初めてが多いな。
すると、そこでスザクも俺たちが頭にハテナを浮かべている事に気付いたのか、魔大陸の簡単な説明を始めてくれた。
魔大陸というのはファスティ大陸から見て北西、今居る中央大陸から見て西に位置する2つの大陸と比べると比較的小さな大陸で、先程のソルクユポ同様に未だに情報があまり無いそうだ。(中央大陸からその魔大陸までの船も通って無いらしいぜ)
「まぁ言うたら情報の少ないおっかない大陸や言うことやな。」
「なるほど……それでそこにソルクユポが……」
「唯一分かってる情報はそれくらいだな。」
正直今回のことに関しては本当によく分かんねぇ。(まぁそれはここに居る全員がそうなんだろうけど。)
――でもよ、本当に分からないからこそ少しでも可能性がある事に賭けるしかないんじゃねぇかとも俺は思う。
そしてその考えはここに居る全員が同じだった様で、その中から代表してミラボレアがこう言った。
「とりあえずぅ、行って情報を掴んだ方が早そうねぇ」
「やな」「そうするか」「そうだな」「そうね」「おう!」「うん!」
こうして俺たちはソルクユポの本拠地があると言われている魔大陸へ出向く事になった。