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第76話【迫る決戦〜只今より、円卓会議を開始するッ!!〜】


「う、うぅ……」

「お、目を覚ましたか」


 寝かされていたベッドから身体を起こすと、まずは周りを確認する。場所は何時も使っているレザリオの家の2階の一室だった。

 そして俺の隣には椅子に座って腕を組んでいる、何故か気まずそうな表情のスザクが居た。


 そうか……あの時俺はついエスタリの事で興奮し過ぎてスザクに気絶させられてたのか。――って、事は……!?


「お、おい!エイブ・シュタイナーはどうなったんだ!?」

「おぉ!?起きたばかりだというのに元気な奴だな。」

「いや、気絶させたのはスザクじゃねぇかよ。それよりも――」

「その事についてはすまなかった。あぁ、分かっている、下でレザリオたちが待っているからまずはそこに言ってからあの後どうなったのかを説明するよ。」

「分かった、じゃあまずは下に降りるか。」

「あぁ」


 ---


 それから俺とスザクは部屋から出て、階段を降りて大きなテーブルのある部屋(初日に超美味いご飯を食べさせと貰った所だ)に行くと、そこにはレザリオにミラボレア。みさとにちなつにくるみと全員が揃っていた。


「――あ!とうま起きたのね」

「あぁ、すまなかったなさっきは自分勝手に行こうとして」

「まぁしゃあないわ。お前の大事な仲間もあの人間の召喚したモンスターにやられたんやろ?昨日みさとから聞いたで。」

「あぁ、まぁそうなんだが――」


 昨日?あいつら昨日にそんな話してたのか。

 するとそこで、そんなレザリオにみさとが何やら耳打ちをした。


「ゴニョゴニョ」

「――まぁせやな、とうまにもこの事言うか」

「ん?なんだ?何かあったのか?」


 まさか俺が寝ている間にサプライズとか……!?ならよくこんな短時間で準備したな、全くリーダー想いのある奴らだな。

 こんな時にも呑気な俺である。


 すると、そんな俺にレザリオは――


「とうま、実はな、お前はスザクに気絶させられてから丸一日寝てたんやで。」

「――――ん?ど、どういう事だ?」


 いや、すまんこんなリアクションしか出来なくて。

 だってよ?こいつの言ってる事がめちゃくちゃ過ぎてよく分からないんだよ。

 なに?丸一日寝てた?んなわけねぇだろ。

 大体外の明るさだって――――ッ!?


 そこで俺はさっき部屋の窓から見た空の色を思い返す。

 確かに、色は気絶した時の色とほぼ同じ。

 だからこそせいぜい数時間しか寝ていないと思っていたのだが――良く考えると数時間でも寝れば太陽は落ちる。


 って事はマジで今はあれから1日後の……?

 確かに、起きた直後に見たスザクが気まずそうに、申し訳なさそうにしていたのにもそれなら納得が行くな。


「……ッ!?」

「やっと自覚したみたいやな」

「いや……正直まだレザリオのいつもする面白くない冗談かとも思っているが……マジなんだよな……?」

「そのいつもする面白くない冗談ってのは気に食わんけどやな、マジや。」


 ---


 それから俺は、兎にも角にももう終わった事はタイムマシンにでも乗らないと変える事は出来ない。

 まずは現状を知る為に周りのみんなに色々話して貰う事にした。


「――で、早速1番聞きたい事から聞くが、あの後あの男――エイブ・シュタイナーは何を言っていたんだ?というか何を話した?」


 俺はすぐにそう本題を出す。

 すると、それにはスザクが答えた。


「まぁその事だよな。実はな、結構まずい事になっているんだよ」

「まずい事……だと……?」


 それからその事について詳細を話してもらう様促すと、スザクはそのまずい事を話し始めた。


 それを俺が簡単にまとめると――

 あの後ソルクユポを率いるエイブ・シュタイナーは、自らの欲望である「世界の初期化、再構築」をする為に、『5日後、魔大陸で漆黒龍ブラックドラゴンを来者ノ石を使い召喚する』そう言ったらしい。

 で、その漆黒龍ブラックドラゴンが割とガチ目にヤバい存在なんだとか。


「――ワイもこの目では見た事ないんやが、大昔に一度現れた時は元々あったひとつの大陸を丸々消し去ったっちゅう話やで。」

「はぁ!?島を丸々ひとつだと?それも大陸って……」

「ワイが本気出しても絶対敵わん相手や。なんならこの世界の冒険者全員で掛かってもどうやろかって感じやな。」

「ちょ、ちょっと待ってくれ。じゃあその大昔に現れた時はどうやって倒したんだよ?」

「それが倒してないんや。ワイが見た記録書には『大陸を丸々ひとつ消し去ると、そのまま嵐の空に消えて行った』そう書かれてるな。」

「なんだよそれ……」


 すると、そこにスザクも口を挟んで来る。


「レザリオの今話した記録書の内容は嘘みたいだが本当に書かれている事だ。『漆黒龍大災害』としてな。だが、正直そんな話ありえないと思っていた、実は誰かが悪ふざけで書いた創作で、元々消し去られた大陸も無かったんじゃないかってな。――だが、」

「昨日のエイブ・シュタイナーの話には確かに漆黒龍が出て来た。もしほんまにあと4日後、召喚されるんやとしたら……」

「4日?後5日じゃ……って、」


 そうか……!俺が丸一日寝ていたからもう日付が変わって4日なのか!ってじゃあもうちょっとじゃねぇか!?


「それって結構ヤバくないか!?」

「だから最初にスザク言ったやろ?まずい事になってるって」


 いや、確かに言っていたが……まさかこんな世界の命運がかかってるレベルとは思わないだろ!!


「……?あ!そうだ!ならいっその事今からにでもソルクユポの連中を全員叩きのめせば良いじゃねぇか!」


 俺はそこで、咄嗟に思い付いた事を言ってみる。

 だが、後から考えればそんな事は誰でも思い付く事で――


「確かにそうかもしれないけどねぇ、とうまちゃん?もし仮に私たちが魔大陸に行っている間にまた中央大陸にドラゴンが現れたりしたら大変でしょうぅ?ラゴちゃんやオルガちゃんが居るとはいえ被害は被るわぁ。」

「確かにそれはそうかもしれないが……でも……ッ!!」

「ふふっ、とうまちゃんの言いたいこともちゃんと分かっているわぁ。だから大丈夫。魔王ちゃんたちに手紙を送ったからぁ。ソルクユポの人達がしようとしている事とぉ、見張っていて欲しいってぇ。」

「そう、なのか。」


 なら、とりあえず魔大陸は今のところはまだ安心だな。


「中央大陸の人達は、ファスティ大陸の人達にはこの事言ったのか?」

「いや、中央大陸はまだだ。それで今日これから冒険者ギルドへ言いに行こうと思ってたんだよ」

「ラペルにはもう手紙を送ったわ」

「そうか……」


 まさか俺が1日寝ている間にこんな事にまで進展していたとはな……

 もしかしたらこれから起こるであろう戦いが、最終決戦なのかもしれない――――――


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