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庾敳2  庾敳の賦

永嘉えいかの乱もたけなわの頃、

庾敳ゆがいさん、自らの陣営の敗北を確信。

自らの想いを賦に託し、書き上げた。


若き日の庾亮ゆりょうさま、それを読む。


……何が書かれているのか

よくわからない。


「叔父上、この賦には、如何様な意が

 込められて御座いましょう?

 またその意は、賦になど

 閉じ込めおけるのでありましょうや?


 もし意など込めておられぬのであれば、

 賦など残す必要もございますまい?」


庾敳が答える。


「わが想いは意のある無しの合間を

 たゆたっている。故にこそ、

 賦を残そうと思ったのだよ」




庾子嵩作意賦成,從子文康見,問曰:「若有意邪?非賦之所盡;若無意邪?復何所賦?」答曰:「正在有意無意之間。」


庾子嵩が意を作せる賦の成れるに、從子の文康は見、問うて曰く:「意の有らんが若きや? 賦の盡くさる所に非ざらん。意の無からんが若きや? 復た何をか賦したる所ならんか?」と。答えて曰く:「正に有意と無意との間に在り」と。


(文學75)




庾敳さんもこれ、相当難解に書いたんだろうなあ。庾亮を文を解さぬ堅物と切り捨てるでもいいけど、それよりは庾敳さんがノストラダムっちゃったって方が正解なのかも。


どうでもいいが「文康」は庾亮の諡である。庾敳健在なりし頃の庾亮少年を諡で呼ぶな。わけわらかんくなる。

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