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王導18 サボタージュ

顧和こわが成人して、最初に就いたのが

揚州従事、つまり王導おうどうさまの部下。


ある月の初日、お役所の門近くで車を止め、

何故か車の中で顧和さん、

シラミを潰すのに一生懸命。


その横を周顗しゅうぎの車が通り過ぎる。

始め何の気にも留めなかった周顗だが、

ふと心がざわつき、

引き返して顧和の車を覗く。


周顗と言えば当時のトップ官僚。

けど顧和さん、そんな人に見られてるのに

相変わらずシラミ潰しに大忙し。


周顗、顧和の胸を指して言う。


「君はいったい、

 どのような境地でおるのだ?」


顧和さん、

特に振り向くこともなく言う。


「これがまた、わたくしにも

 とんと分からぬのですよ」


うむう、と周顗がうなる。

その後王導さまに会うと、

こうコメントした。


「きみの属僚に、

 随分出世しそうな奴がいるな」




顧和始為楊州從事。月旦當朝、未入頃、停車州門外。周侯詣丞相、歷和車邊。和覓蝨、夷然不動。周既過、反還指顧心曰:「此中何所有?」顧搏蝨如故、徐應曰:「此中最是難測地。」周侯既入、語丞相曰:「卿州吏中、有一令僕才。」


顧和は始め為楊州從事と為る。月旦に朝せるに當り、未だ入らずの頃にして州門の外に車を停む。周侯の丞相を詣でるに、和の車の邊を歷す。和は蝨を覓め、夷然として動かず。周は既にして過ぎりたれど、反還し顧が心を指して曰く「此の中には何れの所有りや?」と。顧は蝨を搏ること故の如くし、徐に應えて曰く「此の中、最も是れ測り難き地なり」と。周侯は既にして入りたれば、丞相に語りて曰く「卿が州の吏中に一なる令僕の才有り」と。


(雅量22)




うーんこの価値観の相違。顧和死ねとしか思えません。


雅量って時々劉宋的価値観からしてもDis じゃねえのって話が混じってるけど、あるいはやっぱり、劉宋でも雅やかな行い扱いだったのかしら。周顗顧和と一世紀以上開きがあるから、多少は価値観にも変動はあるだろうけど、どうなんだろね。


二十一世紀的観点からすれば誤差範囲内なのかなー。

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