揚州従事、つまり
ある月の初日、お役所の門近くで車を止め、
何故か車の中で顧和さん、
シラミを潰すのに一生懸命。
その横を
始め何の気にも留めなかった周顗だが、
ふと心がざわつき、
引き返して顧和の車を覗く。
周顗と言えば当時のトップ官僚。
けど顧和さん、そんな人に見られてるのに
相変わらずシラミ潰しに大忙し。
周顗、顧和の胸を指して言う。
「君はいったい、
どのような境地でおるのだ?」
顧和さん、
特に振り向くこともなく言う。
「これがまた、わたくしにも
とんと分からぬのですよ」
うむう、と周顗がうなる。
その後王導さまに会うと、
こうコメントした。
「きみの属僚に、
随分出世しそうな奴がいるな」
顧和始為楊州從事。月旦當朝、未入頃、停車州門外。周侯詣丞相、歷和車邊。和覓蝨、夷然不動。周既過、反還指顧心曰:「此中何所有?」顧搏蝨如故、徐應曰:「此中最是難測地。」周侯既入、語丞相曰:「卿州吏中、有一令僕才。」
顧和は始め為楊州從事と為る。月旦に朝せるに當り、未だ入らずの頃にして州門の外に車を停む。周侯の丞相を詣でるに、和の車の邊を歷す。和は蝨を覓め、夷然として動かず。周は既にして過ぎりたれど、反還し顧が心を指して曰く「此の中には何れの所有りや?」と。顧は蝨を搏ること故の如くし、徐に應えて曰く「此の中、最も是れ測り難き地なり」と。周侯は既にして入りたれば、丞相に語りて曰く「卿が州の吏中に一なる令僕の才有り」と。
(雅量22)
うーんこの価値観の相違。顧和死ねとしか思えません。
雅量って時々劉宋的価値観からしてもDis じゃねえのって話が混じってるけど、あるいはやっぱり、劉宋でも雅やかな行い扱いだったのかしら。周顗顧和と一世紀以上開きがあるから、多少は価値観にも変動はあるだろうけど、どうなんだろね。
二十一世紀的観点からすれば誤差範囲内なのかなー。