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王導31 王導と周顗1

王導おうどうさまがいろんな人と一緒に

お酒を飲んでいた。

そこでいきなり、空になった

瑠璃の杯を、周顗しゅうぎさんに向ける。


「この杯の中には何も入っていない。

 つまり、杯としての

 用を為しておらんのだ。


 だのにこの杯は

 宝として扱われておる。


 これはいったい、

 どうしたわけなのであろうな」


王導さまが見るのは、

周顗さんのその、堂々たるお腹。


外見ばかり麗しいが、

その中身に収まるべきものがない。

そのような人間を貴人として扱うのは

どうしたことなのか、と。


うわあ、丞相エグい。


だが周顗、さらっと返す。


「とても綺麗で透き通っておる。

 ならば十分に宝であろう」




王公與朝士共飲酒。舉瑠璃盌、謂伯仁曰:「此盌腹殊空。謂之寶器。何邪?」答曰:「此盌英英、誠為清徹。所以為寶耳。」


王公と朝士は共に酒を飲む。瑠璃盌を舉げて伯仁に謂うて曰く「此の盌腹は殊に空し。之を寶器と謂うは何ぞや?」と。答えて曰く「此の盌、英英として誠に清徹為り。寶と為す所以のみ」と。


(排調14)




丞相と周顗さんシリーズ、三連発。なんなんだこいつらのいちゃこらっぷりは。


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