河岸に
毒のあるサワガニのことだ。
これを見て蔡謨さん、大喜びで言う。
「我が宗祖、
こう載っていたな!
蟹に八足有り、
加えて二つのハサミ有り、と!」
というわけで早速蔡謨さん、
彭蜞を煮させて、喰った。
ゲロ吐いて瀕死。
え、蟹じゃねえの? マ?
後日に蔡謨さん、
そんなことがあって難儀したんだぜー、と
すると謝尚、苦笑する。
「あんたなぁ、
そいつ、蟹そっくりとはいえ
だいぶ小さかったんじゃないのか?
ご先祖の言葉をありがたがんのはいいが、
それで死んでちゃ世話ねえぞ!」
蔡司徒渡江,見彭蜞,大喜曰:「蟹有八足,加以二螯。」令烹之。既食,吐下委頓,方知非蟹。後向謝仁祖說此事,謝曰:「卿讀爾雅不熟,幾為勸學死。」
蔡司徒の江を渡れるに、彭蜞を見、大いに喜びて曰く:「蟹に八足有り、加えて二螯を以ちたり」と。令し之を烹さしむ。既に食わば、吐下し委頓し、方に蟹に非ざると知る。後に謝仁祖に向いて此の事を說かば、謝は曰く:「卿は爾雅を讀むこと熟ならざらんか、幾ばくぞ、勸學が為に死さんとは」と。
(紕漏3)
彭蜞
ここで謝尚が原文で言ってるのは「爾雅」だが、爾雅釈魚編の本文は「螖蠌小者蟧」でしかない。「即彭蜞也、似蟹而小」の部分は
あー、けど
とはいえ、蟧が言うまでもなく彭蜞だって言う共通認識も存在してるとか? してるかもしれんよなぁ……。