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畢卓   酒とツマミ

さて、ここからは江左八達こうさはったつだ。

既に中原名士のところで紹介済みの名士、

謝鯤しゃこん伝にはこんな記述がある。


毎與畢卓、王尼、

阮放、羊曼、桓彝、阮孚等

縱酒,敦以其名髙,雅相賓禮。

(謝鯤は)畢卓ひったく王尼おうじ

 阮放げんほう羊曼ようまん桓彝かんい阮孚げんふらと

 酔いにあかせて楽しんだ。

 王敦おうとんはそんな彼らを

 賓客の礼でもてなした。


ここになぜか胡毋甫之こむほしの加わった八人が

江左八達と呼ばれている。

絶妙に兗州八伯と被っている、

不思議なメンツである。


ここではその中から畢卓ひったくを紹介する。

彼はある酒の席で言っている。


「片手に蟹のハサミ、

 片手に酒杯。

 そうして、酒の池の中に浮かぶ。

 そんな境地に至れば、

 もう人生なぞ終わってもいい」と。




畢茂世云:「一手持蟹螯,一手持酒桮,拍浮酒池中,便足了一生。」


畢茂世は云えらく:「一手に蟹螯を持ち、一手に酒桮を持ち、酒池が中に拍浮せば、便ち一生を了うるに足る」と。


(任誕21)



畢卓

胡毋甫之こむほしと知遇を得ていたり温嶠おんきょうさんと仲良かったりするけど、人事部の仕事を放り出して人んちの酒蔵の酒を盗んで飲もうとして捕まる人。ひでえな、なんだこいつ。

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