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王述4  我が父祖の名

王述おうじゅつ楊州ようしゅう刺史となった時のこと、

側仕えとなった事務官が、

王述の父や祖父の諱を教えてくれ、

と願い出てきた。


お仕事の上とは言え、うっかり

祖父の「たん」の字、父の「しょう」の字を

言ってしまわないように、という配慮だ。


すると、王述は言う。


「わが父、我が祖父の名は

 広く内外に知られている。

 今更それを聞くまでもないだろう?


 また母上の名は、家の中でのみ

 言われているものでしかない。

 ならば、そなたが

 気に掛けることでもあるまい」




王藍田拜揚州,主簿請諱,教云:「亡祖先君,名播海內,遠近所知。內諱不出於外,餘無所諱。」


王藍田は揚州を拜す。主簿の諱めんとせるところを請うに、教じて云えらく:「亡き祖、先君は、名を海內に播じ、遠近に知らる所。內諱は外に出でざらば、餘に諱む所無し」と。


(賞譽74)




王述

王昶おうちょう王湛おうたん王承おうしょう→王述→王担之おうたんしラインは、誰もかれもが名士として名を知られているすさまじい血統である。……のだが、ラストに王国宝おうこくほうが来るって言うね。みごとなオチのつき方である。

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