側仕えとなった事務官が、
王述の父や祖父の諱を教えてくれ、
と願い出てきた。
お仕事の上とは言え、うっかり
祖父の「
言ってしまわないように、という配慮だ。
すると、王述は言う。
「わが父、我が祖父の名は
広く内外に知られている。
今更それを聞くまでもないだろう?
また母上の名は、家の中でのみ
言われているものでしかない。
ならば、そなたが
気に掛けることでもあるまい」
王藍田拜揚州,主簿請諱,教云:「亡祖先君,名播海內,遠近所知。內諱不出於外,餘無所諱。」
王藍田は揚州を拜す。主簿の諱めんとせるところを請うに、教じて云えらく:「亡き祖、先君は、名を海內に播じ、遠近に知らる所。內諱は外に出でざらば、餘に諱む所無し」と。
(賞譽74)
王述