「一皮むけば、そこにはもう
真なるものがある。
敢えて言えば、もう少し
潜り込ませていてほしいものだが」
何せこの人、とてつもなく
せっかちなことで有名であった。
だから
こう言っている。
「君の宗門の王述くんな、
本当に常人離れした
挙動であったことだよ」
……ところで王恭にとって王述って、
祖父の従兄弟、つまりほぼ他人なんですが。
これ
「才能はさほどない。
営利栄達に貪欲。
ただ、
非常に率直なところが、ややある。
この美点により、
多くの人と向かい合う役目を
大いに果たすことができる」
また
「人は貴方様をアホだと言っているが、
本当にアホですね!」
ぇえ……。
ちなみに謝万、王述の娘婿である。
この時、
白い帽子をかぶり、輿に乗ったままで
いきなりそんな放言をしたのだという。
そんな謝万に対し、王述、
鷹揚に答えている。
「そう言う説も、ある。
ただ、私は晩成型なのでね」
謝公稱藍田:「掇皮皆真。」
謝公は藍田を稱うるらく:「皮を掇るに皆な真なり」と。
(賞譽78)
謝公語王孝伯:「君家藍田,舉體無常人事。」
謝公は王孝伯に語るらく:「君が家の藍田、體を舉ぐるに常人の事無し」と。
(賞譽143)
簡文道王懷祖:「才既不長,於榮利又不淡;直以真率少許,便足對人多多許。」
簡文は王懷祖を道えらく:「才は既に長ぜず、榮利にても又た淡からず。直の以て真率なるが少し許り、便ち人の多きに對うるに足ること多き許り」と。
(賞譽91)
謝中郎是王藍田女婿,嘗箸白綸巾,肩輿徑至揚州聽事見王,直言曰:「人言君侯癡,君侯信自癡。」藍田曰:「非無此論,但晚令耳。」
謝中郎は是れ王藍田が女の婿なり。嘗て白綸の巾を箸け、肩輿にして徑ちに揚州聽事に至りて王を見、直に言いて曰く:「人は君侯を癡なりと言う。君侯は信に自ら癡なり」と。藍田は曰く:「此の論無きに非ず、但だ晚令なるのみ」と。
(簡傲10)
謝安さまはともかく、簡文さまの物言いがエグい。王述さんもある意味で直言居士だったのかねえ。我慢がきかずにいろんなことストレートに言っちゃいそうな感じはある。それにしても娘婿から言われる言葉じゃねえよなこれwwwww むしろそういうことを言っても大丈夫な人、だったのかなあ。