目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

何充4  阮裕から見た何充

何充かじゅうが国の大権を委ねられた頃、

その信任を得ている部下の一人に、

明らかに実力不足なやつがいる、と

批判をするものがいた。


縁故人事じゃないのか、ふざけんな。

そう言いたかったわけである。


その人に対して、阮裕げんゆうが言う。


「縁故人事なぞ、何充どのが

 する訳はあるまい!


 もともと低い地位でありながら、

 一挙に宰相となったのだ。

 故に、その地位にふさわしき人物を

 見抜く能力に欠けておる!


 何充どののなされた抜擢について

 悲しむべきは、ただその点のみよ!」


うわぁ、阮裕さんエグい……。



なにせ阮裕さん、かなり何充のこと

嫌いだったみたいなのだ。


だから、こんなやり取りもしている。


何充といえば仏キチ。有名な話だ。

寺への参拝は、ご精勤、

そう呼ぶのがふさわしかった。


なので阮裕、何充に言っている。


「そなたの気宇の壮大なること!

 その雄々しさたるや、

 万古にもうかがえるまいて!」


えっ何、何なの?

その突然の上げムーヴ?


「阮裕殿、何が狙いなのだ?」


何充が聞くと、阮裕、答えるよ。


「いや、なに!

 わしは数千戸ほどの規模の郡長官にすら

 なりたくともなれぬのだ!

 だのにそなたときたら仏にならん、

 と企図しておられる!


 これを壮大と言わずして、

 何を壮大と言えるものかよ!」




何次道為宰相,人有譏其信任不得其人。阮思曠慨然曰:「次道自不至此。但布衣超居宰相之位。可恨、唯此一條而已。」

何次道は宰相と為り、人に其の信任にて其の人を得ざるを譏る有り。阮思曠は慨然として曰く:「次道は自ら此に至らず。但だ布衣を超え宰相の位に居す。恨むべくは、唯だ此れ一條なるのみ」と。

(品藻27)


何次道往瓦官寺禮拜甚勤。阮思曠語之曰:「卿志大宇宙,勇邁終古。」何曰:「卿今日何故忽見推?」阮曰:「我圖數千戶郡,尚不能得;卿迺圖作佛,不亦大乎!」

何次道の瓦官寺に往きて禮拜せること甚だ勤なり。阮思曠は之を語りて曰く:「卿が志の大なるは宇宙、勇は終古を邁ゆ」と。何は曰く:「卿の今日は何ぞの故に忽ち推せるを見んか?」と。阮は曰く:「我れ數千戶の郡を圖るに、尚お得る能わず。卿は迺ち佛を作さんと圖る、亦た大ならずや!」と。

(排調22)




感想:阮裕うぜえ。何だこいつ。京都人かな?

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?