目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

孔羣2  孔羣は酒キチ

孔羣こうぐんは酒好きで知られていた。


酒があまり得意ではないし、

主君の元帝げんていさまの飲酒癖に

常々頭を痛めていた王導おうどうさまとしては、

飲酒癖が気になって仕方ない。


「そなたは、どうしてそう

 いつも酒を飲んでいるのだ?


 酒場の甕を覆う布が、

 日に日に朽ちていくのを

 知らんわけでもあるまい?」


すると孔羣、言い返すよ。


「何を言っとるのだ、

 肉を糟の中に漬ければ、

 どんどん旨くなるだろう」



後日孔羣は旧知の友人に語っている。


「今年は米がたくさんとれた、

 のだが、俺が飲みたいだけの酒を

 造るには全然足りん」




鴻臚卿孔群好飲酒。王丞相語云:「卿何為恆飲酒?不見酒家覆瓿布,日月糜爛?」群曰:「不爾,不見糟肉,乃更堪久。」群嘗書與親舊:「今年田得七百斛秫米,不了麴糱事。」


鴻臚卿の孔群は飲酒を好む。王丞相は語りて云えらく:「卿は何ぞの為に恆に飲酒せんか? 酒家を覆える瓿布の日月に糜爛せるを見んか?」と。群は曰く:「爾らず。糟肉の乃ち更に久しく堪えたるを見んか?」と。群は嘗て親舊なるに書を與うるらく:「今年の田にて七百斛なる秫米を得たれど、麴糱の事には了らず」と。


(任誕24)




孔羣

蘇峻そしゅんの乱に絡んで、もと蘇峻の配下の匡術きょうじゅつにやたらとケンカ吹っ掛けてく人。人としてだいぶアレ。有能ではあったんでしょうけどねえ……。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?