軍の編成は終了した。さあ出撃だ。
が、うまく進軍ができない。
そのニュースを聞いた
折れた
意に如かず、つまり
「思い通りにいかないものですね?」
というわけだ。性格最悪だなこいつ。
とは言え、この手のアオリにキレたら
貴族らしいふるまいじゃない。
庾翼、筆を執るよ。
「進物、確かに頂戴致しました。
多少痛みもございますが、
何の、修理して
大切に使わせて頂きます」
「意に如く」ようにしますよ、ってね。
綺麗に返せるもんですねー。
庾征西大舉征胡,既成行,止鎮襄陽。殷豫章與書,送一折角如意以調之。庾答書曰:「得所致,雖是敗物,猶欲理而用之。」
庾征西の大いに征胡すべく舉ぐるに、舉の既に行けるは成れど、止まりて襄陽に鎮ず。殷豫章は書にて一なる角の折れた如意を送り、以て之を調う。庾は書にて答えて曰く:「致せる所得たり、是れ敗物と雖も、猶お理めて之を用いんと欲す」と。
(排調23)
如意
仏具なんだが、元々の用途はいわゆる「孫の手」。「痒いところに手が届く」から、「意に如くもの」としての名前がついたんだそーです。