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簡文13 一流の論壇人

桓温かんおんさま、しばらく任地の荊州にいた。

ある日、建康けんこうに出仕、そこで劉惔りゅうたんと会う。


「おう劉惔、そう言えば司馬昱様、

 かなり清談上手くなったらしいな?」


すると劉惔が答えた。


「そうですね。凄い上達ぶりですよ。

 とは言え、やはり一流とは呼べませんね」


おいおい、と桓温は聞く。


「なら、一流って誰だよ」


「決まってるじゃないですか。

 私たちですよ」




桓大司馬下都、問真長曰:「聞會稽王語奇進。爾邪?」劉曰:「極進、然故是第二流中人耳。」桓曰:「第一流、復是誰?」劉曰:「正是我輩耳。」


桓大司馬は都に下り、真長に問うて曰く「會稽王が語は奇だ進むと聞く。爾れるや?」と。劉は曰く「極めて進みたり。然れど故より是れ第二流中の人なるのみ」と。桓は曰く「第一流は復た是れ誰ぞ?」と。劉は曰く「正に是れ我が輩のみ」と。


(品藻37)




簡文さまは、別エピソードで「劉惔、王濛おうもう、桓温、謝尚しゃしょう阮裕げんゆう袁喬えんきょう」についての印象を孫綽そんしゃくに聞いています。とすると、孫綽を含めた七人を、

劉惔は「一流」と呼んでいる、と言うふうに扱えそうですね。


なので彼らについては、後ほど「簡文文壇」としてまとめて取り扱います。ぶっちゃけこのグループこそが世説新語の主役たちと言っていい、そんな人たちだったりします。

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