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桓温14 解説役の劉惔さん

劉弘りゅうこう陶侃とうかん庾亮ゆりょうと引き継がれてきた、

東晋の西の守りの要、西府せいふ


兄から西府を引き継いだ庾翼ゆよくであったが、

北伐ほくばつの意を全うし切れぬまま、

遂に臨終の床に就いた。


そんな庾翼、後継者に

息子の庾爰之ゆえんしを指名。


さて中央政府としては、

そんなにホイホイ庾氏を

お頭に据えてしまっては

西府が謀叛も企むのでは、と

気が気ではない。


とは言え、替わりの人間と言えば

だれがいるだろう。


紛々糾々の末、政府は桓温かんおん

西府の長として指名することにした。


この決定に対し、

劉惔りゅうたんさんがコメントしている。


「まぁ、バッチリ治めるでしょうね。

 ただ、後々になって

 制御効かなくなる気もしますけど」




小庾臨終、自表以子園客為代。朝廷慮其不從命、未知所遣。乃共議、用桓溫。劉尹曰:「使伊去必能克定西楚。然、恐不可復制。」


小庾の終に臨めるに、子の園客を以て代わりと為さんと自ら表す。朝廷は其の命に從わざるを慮るも、未だ遣わしむる所を知らず。乃ち共に議し、桓溫を用いる。劉尹は曰く「伊れをして去かしむらば、必ずや能く西楚を克定せん。然れど復た制せるべからざるを恐る」と。


(識鑒19)




庾爰之

多分あっという間に出世レースからはじき出された。全然事跡が残ってない。



ぼくはこういうコメントを「事後演繹予言ビーム」と呼んでいるよ。


事後演繹予言ビーム

歴史著述者、即ち後の結果を知る者が、ある人物の見識高さを演出するために飾り付ける、後の結果を踏まえた提言。中には実際に言われたものも少なくなかろうが、あまりによく使われたため、二十一世紀日本にて「軍師の頭の良さアピールで事後演繹予言ビーム照射されると萎えるよねーwww」などと囁かれている。と言っても人間、自分よりも頭の良い人間の思考などそう簡単に想像できるものでもないのよなあ。

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