副官になって、間もなくの頃。
桓温さま、突然謝安さまの自宅に訪問。
折りしも謝安さま、
髪の毛を梳いていたところだった。
突然の訪問を聞き、
慌てて衣服と冠を取る。
「ああ、いいいい。
そう言った堅っ苦しい事はなしだ」
こうして謝安さまに
オフの格好でいることを許し、
そのまま二人は夜遅くまで語らい合う。
桓温さまが謝安の家から撤収。
すると謝安さま、
思わず側仕えに漏らすのだった。
「いやはや、あのような度量のお方、
きみたちは見たことがあるかね?」
謝太傅為桓公司馬。桓詣謝、值謝梳頭。遽取衣幘、桓公云:「何煩此?」因下共語。至暝、既去、謂左右曰:「頗曾見如此人不?」
謝太傅は桓公の司馬と為る。桓の謝を詣でるに、謝の頭を梳けるに值う。遽てて衣と幘とを取りたるに、桓公は云えらく「何ぞ此れを煩いたるや?」と。因りて下り、共に語りて暝に至る。既にして去らば、左右に謂いて曰く「頗る曾て此くの如き人を見たるや不や?」と。
(賞譽101)
お前らラブラブすぎだろ案件。
「既去、謂左右」だから「去ったあとの場所で」の発言だし、編の全体が謝安主語なので最後のセリフは謝安のものなんだろうと思うんですが、問題はこれ桓温が言っててもぜんぜんおかしくないことですよね。本当にこのふたりえっちすぎんだろ……。