桓温かんおんさま、移動の最中に
王敦おうとんの墓近くを通った。
流れゆく景色として墓を眺めながら、
桓玄さまは呟くのだった。
「まぁ、アイツもそれなりだよな」
桓溫行、經王敦墓邊。過望之云:「可兒、可兒。」
桓溫の行けるに王敦が墓の邊を經る。過ぎりて之を望みて云えらく「可兒なり、可兒なり」と。
(賞譽79)
タイミング次第でいくらでも解釈が変わるエピソードである。一応前後からすれば謝安しゃあんさまの出仕前だから、桓温さまが簒奪に動かざるを得なかったタイミングではない。
それとも世説新語は、「初めから桓温さまは簒奪狙いだった」論者なのかなー。この辺りは変に決め打ちすると火傷するアレですね。