清談に優れた人たちたちが、
みな
ただ、
殷浩さんと孫盛、
この世に見える現象は表象に過ぎす、
その本当の意味を探るためには、
易に当たらねばならない、
と言った感じの論だ。
特に、孫盛が熱く語った。その意気は、
雲をもつかんばかりの勢い。
まぁ殷浩さんと一緒ってことはね。
「俺のほうが上手く説明できるぜ」
って、張り切ってたんでしょう。
が。
……えー?
その論、おかしない?
皆を納得させるには至らない。
とは言え、うまく反論はできなかった。
そこで簡文さまが嘆息。
「劉惔ならば、孫盛の論を
上手くねじ伏せるのだろうがなあ」
と言う訳で、劉惔が呼ばれる。
えっうそマジ?
アレに来られたらやばない?
孫盛も一瞬にして悟ったようだ。
奴なら論破してくるだろう、と。
そして劉惔がやってきた。
話を聞くと、孫盛に概略を語らせる。
語りながら孫盛、確信してた。
あっこれ、ダメな奴だいろいろ。
そして口火を切る劉惔。
約二百語ほどの簡素な論。
だがそれだけで、孫盛論はズタボロに。
ウッヒョー! マジかよ劉惔!
みんな手を叩いて、大爆笑の大喝采。
さすが劉惔だぜ!
皆が劉惔をたたえたそーな。
殷中軍、孫安國、王、謝能言諸賢,悉在會稽王許。殷與孫共論易象妙於見形。孫語道合,意氣干雲。一坐咸不安孫理,而辭不能屈。會稽王慨然歎曰:「使真長來,故應有以制彼。」既迎真長,孫意己不如。真長既至,先令孫自敘本理。孫麤說己語,亦覺殊不及向。劉便作二百許語,辭難簡切,孫理遂屈。一坐同時拊掌而笑,稱美良久。
殷中軍、孫安國、王、謝の言を能くせる諸賢、悉く會稽王が許に在す。殷と孫は共に易象の見形に妙せるを論ず。孫は道の合なるを語らば、意氣は雲を干かんとす。一坐は咸な孫が理に安んぜざるも、辭にては屈さる能わず。會稽王は慨然として歎じて曰く:「真長をして來たらしまば、故より應えて以て彼を制せる有らん」と。既に真長を迎えたらば、孫は己の如かざるを意ゆ。真長の既に至れるに、先に孫をして自ら本の理を敘せしむ。孫は麤にして己が語を說き、亦た殊に向に及ばざるを覺ゆ。劉は便ち二百許りの語を作し、難せるに辭は簡にして切、孫が理は遂にして屈す。一坐は時を同じうして掌を拊して笑い、美良なるの久しきを稱う。
(文學56)
殷浩さんの引き際の上手さが異常。孫盛バーサス劉惔に全然かかわろうとしてねえ。お前爆笑してたろ一緒に。