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謝尚2  謎の妖怪美女

宋褘そうい、とか言う出所不明、

けど何だかめっちゃヤバい美女がいた。


その名前は、藝文類聚げんもんるいしゅうに見えている。


それによると、西晋せいしんの時代、

伝説的な贅の限りを尽くした

石崇せきすうの愛妾、緑珠りょくじゅ

その緑珠の弟子であった、とのことだ。


明帝めいていの妃として後宮入りしたものの、

明帝の寿命を縮める原因となったため、

民間に出されることになった。

その時明帝が

「誰か貰い手がいないか?」と聞くと、

誰も手を挙げない中、阮孚げんふが手を挙げた。


……とある。

要は、妖女の代名詞的名称だった、

と言えるだろう。



ともあれ、そんな謎の美女が

王敦おうとんの妾となっていたが、王敦の死後、

謝尚しゃしょうの妾として迎え入れられていた。


謝尚、そんな宋褘に聞く。


「俺と王敦、どっちがいい?」


すると宋褘は答える。


「田舎親父とあなたのような貴人を

 比べるなんて、そんな、そんな!」


……まー謝尚さん、

美男子だったらしいですからねー。





宋褘曾為王大將軍妾,後屬謝鎮西。鎮西問褘:「我何如王?」答曰:「王比使君,田舍、貴人耳!」鎮西妖冶故也。


宋褘は曾て王大將軍の妾と為り、後に謝鎮西に屬す。鎮西は褘に問うらく:「我は王とでは何如?」と。答えて曰:「王と使君とを比ぶるに、田舍と、貴人なるのみ!」と。鎮西の妖冶なるが故なり。


(品藻21)




宋褘

藝文類聚巻四十四 笛部より。

俗說曰、宋禕是石崇妓綠珠弟子、有國色、善吹笛。後在晉明帝宮。帝疾患危篤、群臣進諫、請出宋禕。時朝賢悉見。帝曰、「卿諸人誰欲得者?」眾人無言。阮遙集時為吏部尚書、對曰「願以賜臣。」即與之。


劉孝標りゅうこうひょうはその注で「未詳」と言っている。マジか、書淫もこのエピソードは取材できてなかったのか。ただこの話について、箋疏は「いや待って、この話をマジにしちゃうと、どう頑張っても謝尚のところに来た時に宋褘が四十歳近くになっちゃうよ、ヤバくね?」と語っている。まぁ、そのくらいの年頃になってもなお容色ますます盛んみたいな女性とか、……イイ、よねっ!

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