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阮裕3  肥遁の志

王羲之おうぎしが、あるとき阮裕げんゆうについて

人から問われた。なので答えている。


「あのお方の卑近な誉辱に

 振り回されぬ様は、

 古来の隠者と較べても、

 まるで劣ってはいないな」



そんな王羲之さん、謝安しゃあんさまとともに

阮裕げんゆうを訪ねる。


阮家の門の前に辿り着くと、

王羲之さん、深呼吸。


「さあて謝安殿、

 頑張ってご主人どのをもてはやそうか」


謝安が答える。


「まったく、上げムーヴも大変ですね」




阮光祿在東山,蕭然無事,常內足於懷。有人以問王右軍,右軍曰:「此君近不驚寵辱,雖古之沈冥,何以過此?」

阮光祿の東山に在れるに、蕭然として事無く、常にて內にて懷けるに足る。有る人は以て王右軍に問うに、右軍は曰く:「此の君の近き寵辱に驚かざるは、古えの沈冥なると雖ど、何をか以て此れに過ぎんか」と。

(棲逸6)


王右軍與謝公詣阮公,至門語謝:「故當共推主人。」謝曰:「推人正自難。」

王右軍は謝公と阮公を詣で、門に至りて謝に語るらく:「故より當に共に主人を推すべし」と。謝は曰く:「人を推すは正に自ら難し」と。

(方正61)




阮裕

才人ではあったが、油断するとすぐ引き籠ろうとする人のようだ。この時も恐らくなんか政治に関する頼み事とかをしなきゃいけなかったんでしょうね。しかしこの二人にわざわざ足運ばせるこの人やべえな。あと「近不驚寵辱」はこれ、老子の「寵辱若驚,貴大患若身。」ですね。こわいこわい。

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