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殷融1  おじさんぼそりと

殷浩いんこうさんと、そのおじの殷融いんゆう


共に論の表明には長けていたが、

能弁か、訥弁かという違いはあった。


何せ殷浩さんは口が上手い。

ものすっげー上手い。

だから、めっちゃ語る。


速い。

オタクか。


そんな殷浩さんの口ぶりを聞くにつけ、

ぼそっと殷融がツッコミを入れるのだ。


「お前、私の論を思い出しなさいよ」


たぶんそこには、殷浩さんの論に対する

反証が載っていたのだろう。


っが、それを聞いて殷浩さんが

どう振る舞ったか、の結果は

残されていない。




江左殷太常父子,並能言理,亦有辯訥之異。揚州口談至劇,太常輒云:「汝更思吾論。」


江左の殷太常が父子、並べて能く言理せど、亦た辯訥の異有り。揚州が口談の劇しきに至るに、太常は輒ち云えらく:「汝、更にして吾が論を思うべし」と。


(文學74)




父子

この時代、父世代と子世代が一緒にいたら、それで親子的に扱われる。


会稽かいけい謝安しゃあんさまのお宅が、まさにこれだろう。謝奕しゃえき謝拠しゃきょの息子たちが、謝安さまの自宅で教えを得ている。


潁川えいせん殷氏」という血縁集団として、殷融と殷浩さんも外部では親子的に取り扱われていた、ようである。

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