目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

殷浩8  殷浩さん侮られる

ある人が殷浩いんこうに問う。


「最近の偉い人たちは、君と裴遐はいか

 比べるというじゃないか。

 なんでなんだろうな?」


殷浩はさらっと答える。


「物事の真理を

 深く見据えるから、ではないかな」



また殷浩、簡文さまからも

聞かれたことがあった。


「君と裴頠はいぎは、どちらが優れているかな」


殷浩、しばらく考えて、

「もちろん、私ですね」

と答えるのだった。



だがある時、簡文さまは殷浩について

インタビューされ、こう答えている。


「誰かより特段優れているとは言えんな。

 人の話を聞いて、答える。

 そのくらいのことができるだけだ」




人問殷淵源:「當世王公、以卿比裴叔道。云何?」殷曰:「故當以識通暗處。」

人は殷淵源に問うらく「當世の王公は卿を以て裴叔道と比ぶ。何をか云わんや?」と。殷の曰く「故より當に暗處を識り通ずるを以てなり」と。

(品藻33)


撫軍問殷浩:「卿定何如裴逸民?」良久、答曰:「故當勝耳。」

撫軍は殷浩に問うらく「卿の定むるに、裴逸民とでは何如?」と。良や久しうし、答えて曰く「故より當に勝れるのみ」と。

(品藻34)


人問撫軍:「殷浩談、竟何如?」答曰:「不能勝人、差可獻酬群心。」

人は撫軍に問うらく「殷浩が談は竟には何如?」と。答えて曰く「人に勝つは能わざれど、差や群心に獻酬すべし」と。

(品藻39)




裴遐・裴頠

河東裴氏、要はド名門だ。世代としてはともに西晋の時代の人。そしてこの二人には共通点がある。清談に長けて盛名を博していたが、共に政争に敗れ、殺されている。まぁそんなわけで、どこからどう転んでも殷浩失脚後の創作。こんな質問されたら普通「俺も将来高転びするってのか!?」ってキレて回答どころじゃないですわ。


殷浩評の乱高下がヤバい。どういうキャラとして扱いたいんだ。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?